交通事故問題で弁護士特約を活用しよう!知って得する使い方について徹底解説!
- 2017/8/29
- 2019/05/31
交通事故に遭うと、事故処理の手続きや相手方(加害者)の保険会社との示談交渉などあなた(被害者)がやるべきことは想像以上にあります。弁護士に依頼できれば安心でいいけど、費用はかさむし、どうすればよいか分からない…
そんな方は、弁護士費用特約という制度を活用することをおすすめします。
あまり知られてはいませんが、弁護士費用特約を使うと、実質負担額が0円で弁護士に依頼できる可能性があるのです!
こちらでは、その弁護士費用特約の概要や使い方について、詳しく解説していきます。
弁護士費用特約についての理解を深め、効果的に使えるように、ぜひ参考にしてみてください。
Contents
弁護士費用特約とは?
保険会社(被害者側)が弁護士費用を一定限度負担してくれる制度のことです。保険会社によって多少限度額が違う場合もありますが、上限300万を限度額として負担してくれます。
具体的には、以下のような費用が補償されます。
- 弁護士への法律相談料
- 弁護士費用
- 訴訟に対する費用
- 仲裁・和解・調停のための費用など
一般的に弁護士費用が300万以上になるケースはかなり少ないといわれてますので、この制度を使えば、実質自分が負担するお金は0円にできるというわけですね!
弁護士費用特約の利用率は0.05%
とても便利な弁護士費用特約ですが、実はこの制度を使う人は非常に少ないといわれています。その利用率はなんとたったの0.05%。
弁護士費用特約に加入している人は30%程度といわれていますが、そもそも加入しているかどうか知らない、どう使うのかわからないといった声があり、認知度・利用率が低いのが現状です。
またそれだけでなく、弁護士費用特約に対して間違った認識があるために、なかなか利用まで至らないともいわれています。この点に関しては、後程また詳しく解説します。
弁護士費用特約を使うためにはどうすればよい?
弁護士特約を使うには、まずあなたが補償の対象者となっていることを確認しましょう。
補償の対象者は以下のとおりです。
- 記名被保険者
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者の配偶者の同居の家族
- 記名被保険者または配偶者の別居の未婚の子
- 被保険自動車の搭乗者
- 被保険自動車の所有者
- 記名被保険者とは?
- 契約している車を主に運転する人のことを指します。
また、ごく稀に使えないケースもあります。当てはまることはめったにありませんが、念のため確認しておきましょう。
- 無免許運転
- 酒気帯び運転
- 故意または重大な過失がある場合
- 薬物使用の影響によって正常な運転ができない場合
- 自分自身が事故の加害者の場合
あなたが補償の対象者であることが確認できたら、あとは保険会社に連絡して弁護士費用特約を使いたい旨を伝えれば使うことができます。
またこの弁護士費用特約は、使うタイミングが早ければ早いほうがよいといわれています。
今は困ってないけれど、弁護士にいつ相談すればよいかわからないという声も意外と多いようですが、早期の段階から弁護士に相談することで、示談交渉もスムーズにすすめることができます。
また、事件の早期解決にもつながるので、どうしてよいかわからないという人は、早めに弁護士費用特約を活用することをおすすめします。
逆に今は困ってないという方でも、後でやっぱり相談したほうがよいかも…と感じることがあるかもしれません。そんなときのために、事前に事件解決までの流れを知っておくだけでも安心です。
以下は参考までですが、弁護士に依頼するタイミングを時系列ごとに並べ、それぞれの段階によってのメリットについて記載しています。
あなた(被害者)の状況・希望 | 依頼するメリット | |
---|---|---|
①事故発生直後 | ・仕事で忙しい ・加害者側の保険会社の担当者と話すのがストレス |
弁護士が窓口になってくれるので、ストレスから解放される |
②治療中 | ・治療に専念したい ・後遺障害が残らないか心配 |
保険会社が強引に治療費を打ち切ろうとしてくるが、弁護士が代わりに交渉してくれる |
③後遺障害等級認定の申請 | 納得のいく「後遺障害等級認定」を受けたい | 適切な後遺障害認定が受けられるようサポートしてもらえる | ④示談交渉段階 | 提示された示談金に納得できない | 適正な示談金を計算して、増額交渉をやってもらえる |
これって本当?弁護士費用特約にまつわる誤解
弁護士費用特約の利用率が低い理由の1つに、弁護士費用特約に対して間違った認識を持っている人がいるためということは、先程少しお伝えしました。
こちらでは、そんな弁護士費用特約にまつわる誤解について、いくつか紹介していきたいと思います。
- Q.保険の等級が下がったり、保険料が上がったりしませんか?
- A.弁護士費用特約はノーカウント事故にあたるので、使ってしまったからといって、翌年から等級が下がったり、保険料が上がることはありません。
- ノーカウント事故とは?
事故の件数に数えない事故のことをいいます。
保険会社によって具体的な基準は違いますが、自動車保険には事故歴に応じて保険料を割引したり、割増したりする制度があります。これを等級制度といいます。
この等級制度には段階があり、どの段階にいるかによって、保険料の割引率が変わってきます。
例えば、1年間保険を使った事故がなかった場合、次年度は等級が1つ上がり、等級が上がった分、保険料が割引になることがあります。このように等級が高いと保険料が安くなり、等級が低くなれば保険料が高くなります。
しかし事故を起こして保険を使ってしまうと、事故有りとしてカウントされ、等級が下がってしまいます。その結果、保険料が高くなってしまうのです。
どれくらい等級が下がるかは、加入している保険会社・事故の程度によりますので、気になる方は一度、ご自分が加入している保険会社に確認してみてもよいでしょう。
しかし、弁護士費用特約はノーカウント事故の扱いとなるので、事故としてカウントされません。そのため等級は下がらず、現状のままの等級扱いとなり、保険料が上がらないということになるのです!
- Q.保険会社から紹介された弁護士以外の弁護士に依頼したいのですが、できますか?
-
A.ほとんどの場合、あなたが選んだ弁護士に依頼することが可能です。
ただ、保険会社の約款(契約の取り決め)にもよりますので、詳しくは加入している保険会社に確認しましょう。
- Q.過失がある事故の場合だと、弁護士特約は使えないのですか?
-
A.いいえ、使えます。
加害者(相手方):あなた(被害者)の過失が100:0でないと使えないという認識をもっている人がいますが、そんなことはなく、あなたに過失があった場合でも使えます。
ただ、上の使えないケースでご紹介したとおり、重大な過失の場合であれば、使えませんので注意が必要です。
上の3つは巷でよく誤解されているので、正しい知識をもって弁護士費用特約を使うようにしたいですね!
こんなケースだとより効果的!弁護士費用特約を活用しよう!
あなたが遭った事故によっては、弁護士費用特約を使うことで、より効果を発揮するケースがあります。
こちらでは、こんなケースで弁護士費用特約を使うと、あなたにとってより有利になる場合についてご紹介していきます。
物損事故の場合
賠償額が比較的少ないケースが多く、このようなケースで弁護士に依頼すると費用倒れのリスクが生じてきます。
費用倒れとは、受け取る示談金よりも弁護士費用のほうが高くついてしまうことをいいます。そのため、あなたが弁護士に依頼することで金銭面で損をしてしまうのです。
弁護士費用特約を使えば、弁護士費用は保険会社が負担してくれます。なので実質費用を負担することなく、弁護士に依頼することができるため、金銭面で損することはなくなるというわけです!
もらい事故の場合
もらい事故とは、あなたに全く責任のない事故のことをいいます。
例えば、信号待ちで停車中に後ろから追突される、青信号で横断歩道を歩いているときに車にひかれる、といったケースです。
このような事故の場合、あなたの代わりにあなたが加入している保険会社が相手方の保険会社と示談交渉を行うことは法律によって禁止されています。
基本的に自動車保険は、自分の過失によって相手に与えた損害を償うためにあります。もらい事故の場合だと、そもそも相手に損害を与えていないため(自分の過失もゼロ)、相手への賠償が発生しません。このようなケースだと保険会社はあなたの代わりに示談交渉はできないのです。
そのためあなたが直接、相手方の保険会社と示談交渉を行わなければなりません。
ここで弁護士費用特約を活用すれば、示談交渉を弁護士に依頼することができます。さらに慰謝料の増額も期待できるため、これを使わない手はないというわけですね!
弁護士費用特約のメリット・デメリット
弁護士費用特約を使えば、実質費用負担なしで、弁護士に依頼することができることはお伝えしてきました。ただ、他にも弁護士費用特約を使うことで得られるメリット・デメリットがあります。
こちらでは、そんな弁護士費用特約を使うことで得られるメリット・デメリットについて詳しく見ていきたいと思います。
メリットその①~示談金の増額~
弁護士に依頼することによって得られる最大のメリットといってもよいでしょう。
事故発生後、自身で示談金に関する交渉をすすめていくと、保険会社の基準で示談額が決められることが多く、相場より低い示談金を提示されることがほとんどです。
交通事故の示談金は大きく分けて、次の3つの基準によって決められます。
基準 | 詳細 | 示談額 |
---|---|---|
①裁判所基準・弁護士基準 | 過去の裁判例などを基に基準化したもの | 高 |
②任意保険基準 | 保険会社によって独自に決められている | 中 |
③自賠責保険基準 | 最低額の補償 | 低 |
本来であれば、あなたは最も高い基準である弁護士基準で計算された示談金を保険会社に請求できます。
しかし、あなたが弁護士基準で保険会社と交渉し、保険会社が提示してきた示談金よりも高い金額を請求することはとても難しいといわれています。
知識・経験豊富な弁護士であれば、適正な基準で示談額を計算し、それをもとに保険会社と交渉してくれます。その結果、示談金が増える可能性が非常に高くなるので、大きな金銭的メリットを得ることができます。
メリットその②~費用倒れのリスクがなくなる
物損事故のケースで少しお伝えしましたが、比較的軽い交通事故、物損のみの事故や人身事故でもケガの程度が軽い場合は費用倒れのリスクがあるといわれています。
受け取る示談金よりも弁護士費用のほうが高くついてしまうので、金銭面で損をしてしまいます。弁護士費用特約を使えば、自分が負担するお金は実質0円になるので、費用倒れ自体を避けることができるのです!
メリットその③~精神的な負担が軽減される
交通事故に遭うと、突然の出来事に右も左もわからず、大きな不安を抱えることが多いです。そのような状況の中で、保険会社との示談交渉や事故処理の手続きなど、事件解決のためにあなたがやらなくてはいけないことは想像以上にあります。
その中でも特に、保険会社との示談交渉は、精神的負担が非常に大きなものになります。保険会社の担当者は交渉のプロですので、状況的に不利なあなたが保険会社と対等にやり取りすることは、とても難しく労力も使います。
この点弁護士費用特約を使えば、弁護士が保険会社との示談交渉を代わりに行ってくれるので、あなたは保険会社とやり取りをする必要がなくなります。
保険会社とのやり取りから解放されるので、精神的なストレスが軽減されることも大きなメリットの1つといえるでしょう。
デメリット~年間2,000円程度の保険料が必要~
弁護士費用特約は一般的に自動車保険の特約として付けられています。そのため、年間でいくらか保険料が必要になります。
保険料は保険会社にもよりますが、年間で1,000~2,000円程度だといわれています。ただ、月額で考えれば100~200円ですので、得られるメリットと比較して考えれば、つけておいて損はないといえるでしょう。
弁護士費用特約を活用して、弁護士に依頼しよう!
以上、弁護士費用特約の使い方についてご紹介してきました。
弁護士費用特約は、自分が実質負担するお金はなしで、弁護士に依頼することができるとても便利な制度です。デメリットはほぼないに等しいにもかかわらず、使うことによって得られるメリットは非常に大きいものです。
弁護士に相談したいけど、弁護士費用が気になる…という人はまず、自身が加入している保険に弁護士費用特約がついているか確認してみましょう。
保険会社に連絡して確認することもできますし、保険証券があればそこから確認することもできます。そして、加入していることが確認できれば、ぜひ弁護士費用特約を活用しましょう。
自身が納得して事件解決するためには、弁護士の力が必須ですので、弁護士費用特約を使って弁護士に依頼することをおすすめします。