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交通事故のケガに健康保険は使えない!?使用する際の3つのメリット・2つのデメリット

  • 2019/4/3
  • 2021/06/08

病院に行く際に必要なのが健康保険証です。しかし、交通事故での負傷により入院や通院をする場合、健康保険は適用されないというイメージを持っている人もいることでしょう。

結論からいうと、交通事故にあっても健康保険は適用されます。健康保険とは「被保険者の負傷・疾患・出産、死亡に対して必要な保険給付をすることが目的とされた制度」と定義されています。

交通事故で負傷した場合、原則的に健康保険を利用して医師の診療を受けることができます。

健康保険を使うべき状況3ケース

交通事故の治療で健康保険を利用すべきケースは以下です。

  • 保険会社が治療費を支払ってくれない
  • 保険会社から治療費を打ち切られた
  • 自分にも過失がある

健康ほけんが使えない状況3ケース

交通事故で健康保険が原則として使えないケースは以下です。

  • 業務中の事故
  • 通勤中の事故
  • 労災保険や地方公務員共済組合法などの適用がある事故

被害者が健康保険を活用する3つのメリット

交通事故にあった際、病院で健康保険を利用するといくつかのメリットがあります。そのメリットとは、具体的にどういったものなのでしょうか。

もらえる賠償金が増えることもある

交通事故では、加害者にあたる人物が任意保険に加入していないケースがあります。
その場合は、被害者が治療費を立て替え、後日加害者か自賠責保険に請求するという流れです。

自賠責保険
最大120万円まで。120万円を超えた分は被害者負担になります。

しかし、健康保険であれば治療費を低い金額で抑えることが可能です。健康保険を利用した場合と利用しなかった場合とでどれほどの違いがあるのか、以下の表にわかりやすく記載しました。

※「自賠責保険の保険金限度額(傷害分)が最大120万円」「加害者と被害者の過失割合が80:20」「損害額(治療費100万円、慰謝料や休業損害などが100万円)」という数字が前提となっています。

健康保険を適用しない場合 健康保険を適用した場合
治療費(A) 200万円(全額支払い、2倍の診療報酬) 30万円
慰謝料や休業損害など(B) 100万円 100万円
損害合計額(A+B) 300万円 130万円
損害賠償額(C) 240万円(加害者の過失割合である300万円×0.8) 104万円(加害者の過失割合である130万円×0.8)
受取保険金額(D) 120万円(自賠責保険の限度額の場合) 104万円(自賠責保険の限度額内)
病院へ支払う金額(A) 200万円 30万円
被害者の受取金額(D-A) -80万円 74万円

自由診療の場合、多額の治療費を負担した際、治療費だけで自賠責保険の限度額のほとんどを占めてしまい、

※慰謝料や休業損害など損害賠償を受け取れない可能性が出てきます。

過失割合などによって支払額は異なりますが、健康保険を利用しない場合、被害者の持ち出しが出ることもあります。

療費の自己負担額や立て替え額が軽減される

交通事故において、追突事故であれば被害者側は何も悪くないので、過失割合は基本的に0です。

しかしそのような例を除けば車同士の交通事故が発生した場合、被害者側であっても過失割合が0になることはありません。

そのため、被害者がケガをしてもその治療費を加害者に全額請求することはできず、何割かの治療費は自己負担となります。自己負担が発生した場合、健康保険を適用すれば負担額を軽減することが可能です。

以下は「過失割合を加害者:被害者=80:20」「治療費50万円」と仮定した場合の金額になります。

  • 健康保険を適用しない場合
  • 病院に支払う治療費:50万円
    被害者が加害者に請求できる金額:50万円×0.8=40万円
    被害者の負担額:50万円-40万=10万円

  • 健康保険を適用した場合
  • 病院に支払う治療費:50万円×0.3=15万円 ※健康保険は原則的に治療費の7割を負担
    被害者が加害者に請求できる金額:15万円×0.8=12万円
    被害者の負担額:15万円-12万円=3万円

健康保険を適用すれば、適用しない場合より10万円-3万円で7万円もの差が生じます。治療費の自己負担というリスクを最小限に抑えることができるのが、健康保険のメリットです。

「高額療養費制度」が使える

健康保険には「高額療養費制度」という制度があります。

高額医療費制度とは?
手続きを行うことによって病院での入院や手術など高額となった医療費を負担してくれる制度です。年齢や年収に応じて設定された医療費の上限額を超えた場合、その超えた分が支給されます。
具体的な支給額は月末締めで決められ、月初めから末日までの医療費で判断される仕組みです。

※支給額はすぐにもらうことができず、一度は治療費全額を自身で負担することになります。

被害者が健康保険を活用する2つのデメリット

健康保険を利用する上でデメリットとも考えられる点について詳しく見ていきましょう。

多様な診療を受けられない可能性がある

健康保険で受けられる保険診療
医療に関する法律に基づいて行われる診療です。法律では使用許可が出ている薬剤の種類や量、リハビリを行う回数までもが決まっています。
自由診療で受けられる保険診療
自由診療は、保険診療に定められている規制がありません。規制がある・ないという違いがある保険診療と自由診療ですが、軽い症状においては一般的にこのふたつのうちどちらの診療を受けても、目立つ差はないといわれています。
重症の場合、保険診療で規制されている先進医療や新薬などによる治療を受けられる可能性があるのは、自由診療のほうといえるでしょう。
自由診療に比べて規制があり、新しい治療法を受けられないのが健康保険活用のデメリットといえます。

しかし、交通事故で受けた負傷は、ほとんどが保険診療で治療できるという話もあります。

※健康保険が適用される保険診療と、保険のいらない自由診療、どちらを選ぶかは事前にじっくりと考慮することが必要です。

健康保険が適用されていない病院もある

交通事故で受けた負傷のため病院に行く際、健康保険の利用が不可能であるという制限は、法律・制度上に存在しません。
本来は全国どこの病院でも健康保険が使えることになっています。

しかし、本来は保険診療を受け付けている病院でも、自由診療扱いとするため健康保険が適用されないケースもあります。なぜ、病院側がそのようなことをするのかというと、その病院が行う診療のタイプによって、報酬金額が大きく変動するためです。

※健康保険を利用した場合、診療報酬の点数単価は10円とされています。それに対し自由診療を行った場合は単価が20円ほどになっている病院が多いといわれています。

自由診療の場合、医師と患者の話し合いによって自由に点数単価を決めることが可能なためです。

病院でありながら保険医療機関ではないところも存在します。そのようなところは健康保険が適用されないため、事前にどの病院が健康保険の対象であるかを調べることが必要です。

健康保険を使用する上での注意事項

交通事故後に医療機関を利用する際は、健康保険を利用したい旨を申し出ましょう。健康保険証は初診時に提示するのが一般的ですが、初診時だけでなくても提示を受け付けている機関もあるので、忘れないようにしなくてはいけません。

    <健康保険の利用にあたり必要な書類>

  • 「第三者行為による傷病届」
  • 「交通事故証明書」
  • 「損害賠償金納付確約書・念書」
  • 「同意書」
  • 「交通事故発生状況報告」
  • 「負傷原因報告書」

自由診療から健康診療への切り替え

交通事故で受けた治療に対して「この手のケガは健康保険の利用ができない」と誤解をして、自由診療での治療を受けている人もいることでしょう。そのような場合は、治療の途中から保険診療への切り替えができます。

治療を受けている医療機関との交渉次第で切り替えは可能ですが、自由診療として手続きをしたあとに切り替えをすると、経理の手続き上、いろいろと手間がかかるようです。

しかし交渉の末、切り替えが完了すれば自由診療と保険診療との差額が返金されます。

自由診療から保険診療に切り替えたい人は、一度治療を受けている医療機関に相談をしてみてはいかがでしょうか。