【後遺障害12級】誰にでも役立つ正当な慰謝料請求を行うための3つの方法
- 2019/3/29
- 2019/09/05
交通事故によって後遺障害が残った場合、申請によって等級認定が行われます。その段階は1級~14級まであります。後遺障害は労働能力に支障があるものと定義されているため、等級ごとに損害賠償の金額を算定し、その金額を加害者に請求することが可能です。
後遺障害12級が認められる事例は以下の通りです。
- 肩やひじ、手首に障害が残り、健康な時の4分の3以下しか動かない
- 鎖骨や肋骨などに変形障害が残った
- 片方のまぶたに運動障害(眼瞼下垂や兎眼等)が残った
上記のような事例の場合、後遺障害12級に当てはまる可能性が高いと言えます。具体的にどういう症状が当てはまるのかを解説します。
Contents
後遺障害12級に当てはまる症状と賠償金額事例
後遺障害等級とは
後遺障害とは、交通事故によるケガでこれ以上治療を続けても回復の見込みがないとみなされた後遺症のうち、特に労働能力に支障をきたし、その症状が医学的根拠に基づくものとされています。
1級 | 2級 | 3級 | 4級 | 5級 | 6級 | 7級 |
8級 | 9級 | 10級 | 11級 | 12級 | 13級 | 14級 |
※該当等級をクリックすると各ページへ移動します。
後遺障害は自動車損害賠償保障法施行令(自賠法施行令)により、重症度ごとに14段階に振り分けられています。14級が最も軽度な後遺障害です。したがって、後遺障害12級は最も軽度な等級よりも、2段階重症度が高いということです。
この後遺障害等級が認定されるには、治療を続けても症状の変化が確認できない症状固定の状態であると医師に診断される必要があります。下記は部位ごとに症状を記載しています。
後遺障害12級の部位ごとの障害状況
部位 | 後遺障害 |
眼の障害 | 1号.一眼の眼球に著しい調整機能障害又は運動障害を残すもの 2号.一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの |
耳の障害 | 4号.一耳の耳殻の大部分を欠損したもの |
口の障害 | 3号.7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの |
脊柱・体幹骨障害 | 5号.鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの 8号.長管骨に変形を残すもの |
神経・精神障害 | 13号.局部に頑固な神経症状を残すもの |
上肢の変形・醜状傷害 | 6号.一上肢の三大関節中の一関節に機能の障害を残すもの 9号.一手の小指を失ったもの 10号.1手の人差し指、中指又は薬指の用を廃したもの |
下肢の変形・短縮・醜状障害 | 7号.一下肢の三大関節中の一関節に機能の障害を残すもの 11号.1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの 12号.1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの |
醜状障害 | 14号.外貌に醜状を残すもの |
【詳しく解説】
1号 | 片方の目において、ピントなどの調節機能、および眼球の動きで見える視野が2分の1以下まで低下した状態です |
2号 | 片方のまぶたの開閉がうまくいかず、瞳を覆ったまま・角膜が露出したままになるなどの状態です |
3号 | 歯の7本以上に損失や大きな損傷があり、歯科で捕てつ処置を受けた状態です |
4号 | 耳のうちで、外に出ている部分(耳殻)を2分の1以上損失した状態です。著しく外見に影響があるときは7級12号が認められます |
5号 | 鎖骨・胸骨・肋骨・肩甲骨・骨盤において、外から見て明らかに変形している状態です |
6号 | 腕の片方の肩・ひじ・手首のうち1ヵ所の機能に影響があり、可動域が4分の3以下になった場合、こちらが適用されます |
7号 | 上記の6号の規定が、足の股関節・ひざ・足首のいずれかに適用されるものです |
8号 | 腕や足を構成する骨が、うまく接着していないなどの理由で変形してしまったときに当てはまります |
9号 | 片方の手において小指を損失した状態です |
10号 | 片方の手の小指と親指以外の3本の指において、長さや第二関節の可動域が2分の1以下になる、また感覚が失われるといった症状にこちらに適用されます |
11号 | 片方の足の人差し指1本、もしくは親指以外の1本を合わせた2本の損失、人差し指と親指以外の3本を損失した場合です |
12号 | 片方の足の親指を2分の1損失、または親指以外の指を第一関節より内側(根元には達しない)で損失した状態です。もしくは親指の第一関節およびそれ以外の指の第二関節までにおいて、可動域が2分の1以上失われた状態も含まれます |
13号 | むちうちに代表されるように、局部において軽い麻痺や感覚障害をきたし、その症状が医学的に立証される場合、こちらが適用されます |
14号 | 首から上の部分に大規模な損傷を負い、大きさが鶏の卵以上となる損傷・損失がある場合、顔に10円玉以上の大きさもしくは3cm以上の損傷がある場合などに適用されます。また、腕や足に手の平の3倍以上の損傷、胴体やお尻などに2分の1以上の損傷がある場合にも適用されます |
後遺障害12級の慰謝料相場・逸失利益と3つの慰謝料基準
後遺障害の等級によって、請求できる損害賠償の金額は異なります。算出の基準は、自賠責基準・弁護士基準・任意保険基準の3つです。
ただし、任意保険基準に関しては、保険会社によって基準に違いがあり公表もされていないため、相場を示すことは難しくなります。下記では、後遺障害12級で請求できる損害賠償金額の相場について解説します。
弁護士基準
弁護士基準の場合、後遺障害12級における後遺障害慰謝料の相場はおよそ290万円です。加えて、後遺障害による逸失利益などが加算されるため、上限は定められていません。
ちなみに、任意保険の後遺障害慰謝料相場は、一般的に自賠責基準と弁護士基準の中間くらいといわれています。
自賠責基準
自賠責基準における後遺障害12級の後遺障害補償の総額は224万円が上限となっています。そのうち後遺障害慰謝料は93万円が相場です。
後遺障害12級の判例
東京地方裁判所平成22年(ワ)44976号事件
概要:交差点を直進していた際、右折しようとしていた車両が衝突
慰謝料:590万円
※慰謝料の内訳として、入院や通院慰謝料が300万円、後遺障害への慰謝料は290万円です。
後遺障害11級の認定してもらうための重要な6つの書類
後遺障害12級の認定は、加害者側の自賠責保険会社に対して申請し、申請後は提出書類を元に損害保険料率算出機構によって厳正なる審査が行われることとなります。申請者が自賠責保険会社に対して申請を行う方法としては、次の二つです。
事前認定とは
認定申請の際は、まず病院によって作成された「後遺障害診断書」というものが必要になります。
加害者側の任意保険会社から自賠責保険会社に対して申請を行う場合、任意保険会社に診断書を送ればその他の書類は全て相手方が準備してくれるためスムーズに物事が運ぶ一方、書類不備などによって認定が認められないというケースも珍しくありません。
被害者請求とは
申請書類を被害者自らが用意する方法です。これは書類を集めるのに非常に時間がかかるため非効率的だという印象を受取りやすいですが、書類不備などの漏れが少ないというメリットもあります。
申請時に必要な書類は以下の通りです。
書類名 | 受取及び申請場所 | 手数料 |
自賠責保険支払請求書兼支払指図書 | 任意保険会社から送付 | – |
交通事故証明書 | ・事故現場を管轄する各都道府県又は最寄りの自動車安全運転センター窓口 ・郵便振替による交付申請 ・インターネットからの申込 ※申請用紙は警察署、交番、自動車安全運転センターにて受取可能 |
1通540円 ・郵便振替の場合+70円 ・コンビニの場合+130円 |
診療報酬明細書及び診断書 | ・任意保険会社が管理している場合、コピーにて送付してもらう ※国民健康保険を使用している場合、指定の診断書を使用・作成するよう病院へ依頼 |
– |
後遺障害診断書 | 病院側にて作成してもらう | – |
レントゲン、MRI画像 | – | – |
後遺障害認定に納得できない場合の対応方法
後遺障害認定に納得できなかった場合、自賠責保険に対する異議申し立てを行うことが可能ですが前申請時と同書類だけでは認められることはなく、新たな資料を提出する必要があります。
また、異議申請を行った場合の結果は、平均2~6カ月程度かかります。
後遺障害12級の認定獲得の2つの条件と受けられない理由
では、後遺障害12級の認定を受けるための条件とは、どのようなものでしょうか。
- 交通事故との因果関係が認められる
- 症状が医学的に立証されている
後遺障害認定を受けるには、交通事故によるケガが原因と認められなければなりません。治療を続けていても、その症状と交通事故の因果関係が立証できないと、後遺障害として認定されないのです。
このような事態を避けるために、治療をきちんと継続的に行うこと、また事故当時の写真を残しておいて車の損傷とケガの関連性を証明できるようにするといいでしょう。
後遺障害12級になると、たとえば神経症状であっても、それが医学的に立証される必要があります。14級9号も神経症状に関する規定ですが、こちらは医学的に推定される症状とされています。
一方12級13号では、検査画像や神経学的に見た異常が確実に認められる場合でないと、認定を受けることができません。そのため、検査における異常所見があるか否かは医師に確認しておきましょう。
認定を受けられないケースとは
仮に後遺障害12級に相当するような症状があったとしても、等級認定が受けられないケースが存在します。特に13号のような神経症状に関するものの場合、検査画像に加えて、被害者が訴えなければわからない痛みやしびれなどの症状が判断材料の1つになるのです。
後遺障害と認定されるには、前述のように症状固定と判断されることがポイントであり、たとえばある条件下(天候や気温など)で症状が悪化・軽減するといったような変化がある場合には、後遺障害の認定を受けられないことがあります。
そのため、症状を医師に訴えるときには自覚症状が残っていることを正確かつ具体的に話すことが求められるでしょう。
後遺障害12級の慰謝料は弁護士に依頼すれば増額できる!?
後遺障害認定については、細かな規定が設けられており、一定の条件を満たしていないと認定を受けることができません。
そのため、交通事故案件に詳しい弁護士に相談することが、適切な後遺障害認定につながるでしょう。また、後遺障害12級における損害賠償の金額(慰謝料額)は、総じて弁護士基準の方が高額になることから、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。