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【後遺障害3級】認定申請における5つの障害状況と手続きに重要な2項目

  • 2019/3/25
  • 2019/09/05

介護が必要だったり広範囲にわたって腕や脚を失ったりする1、2級と比較すると、症状の重さは若干軽減されているものの、1級から3級は労働能力喪失率100%となるため、3級も社会復帰は不可能な状態とされる重いものです。

後遺障害3級が認められる事例は以下の通りです。

  • 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になった
  • 咀嚼又は言語の機能を廃した
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができない

ここでは、後遺障害3級の認定や損害賠償請求に関するさまざまな情報をご紹介していきます。症状や認定の条件など、正しく認めてもらうためのポイントなどを押さえ、適切な損害賠償請求を行いましょう。

後遺障害3級に当てはまる症状と賠償金額事例

後遺障害等級とは

交通事故が原因で負った後遺症のことを指します。自賠責保険の保険金限度額や慰謝料の金額は、後遺障害の等級表に基づいて算定されるため、後遺障害の等級は非常に重要な要素です。

1級 2級 3級 4級 5級 6級 7級
8級 9級 10級 11級 12級 13級 14級

※該当等級をクリックすると各ページへ移動します。

また自賠責保険だけでなく、その不足分を補う任意保険についても等級が大きく影響します。そのため、後遺障害が残った場合には適正な審査で正しく認めてもらうことが大切です。

後遺障害3級の部位ごとの障害状況

部位 後遺障害
眼の障害 1号.1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
口の障害 2号.咀嚼又は言語の機能を廃したもの
神経系統の機能又は精神の障害 3号.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
内蔵及び生殖器の障害 4号. 腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
手指の障害 5号.両手の手指の全部を失ったもの

【詳しく解説】

1号 矯正視力で測定したとき、片目が失明、もう一方も視力が0.06以下という状態を指します
2号 後遺障害3級2号は、咀嚼または言語の機能を失った状態です。咀嚼機能に関しては、流動食以外が食べられない状態、言語機能に関しては言葉をはっきりと発音できない状態となります
3号 神経系統の機能や精神面で著しい障害を残した状態です。これが原因で生涯働けなくなった人が該当します。高次脳機能障害や脊髄損傷によるマヒなどがあり、全く動けないわけではないが労働はできないという状態です
4号 胸部や腹部にある内臓の機能に障害を残した状態です。3号同様に、この障害のせいで生涯働けなくなった人が当てはまります。胃や食道などの消化器官だけでなく、呼吸器、循環器系も対象です
5号 両手の指を全部失った状態です

※各後遺障害等級に関する解説はコチラから

後遺障害3級の慰謝料相場・逸失利益と3つの慰謝料基準

後遺障害3級の認定を受けたら、次に慰謝料を請求することになります。自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準に対するそれぞれの慰謝料は異なるため、慎重に請求方法を選ぶことが重要です。請求の方法によっては、本来請求できる金額を請求しそびれることもあります。

弁護士基準

弁護士基準は、自賠責基準・任意保険基準と比べて慰謝料相場がもっとも高くなります。これは、過去の判例から想定されることが理由です。弁護士基準で後遺障害3級の場合には、1,990万円が目安となります。

自賠責基準

自賠責基準の慰謝料は、後遺障害3級の認定で829万円、被扶養者がいる場合には973万円となります。

任意保険基準

任意保険の慰謝料相場は、それぞれの保険会社によって定められています。そのため、金額には違いがあり、明確な基準を知ることは難しいです。ただし目安としては、自賠責基準の慰謝料よりやや高い金額となるでしょう。

後遺障害3級の判例

東京地裁平成2年8月23日

概要:68歳男性がバスに衝突され四肢麻痺や暴行傷害などが残ったケース
慰謝料:2000万円(損害賠償合計:4965万円)

大阪地裁平成17年4月13日

概要:38歳男性が普通自動車に衝突され、高次脳機能障害が残ったケース
慰謝料:2100万円(損害賠償合計:1億5963万円)

後遺障害3級の認定してもらうための重要な6つの書類

両手の指などといった明らかな症状もありますが、客観的に見て分かる所見がない事例もあります。正確な症状申告と適切な検査が必要となり、自覚症状の自己申告も丁寧に行うことが大切です。

保険会社は、被害者の等級を上げるためや認定されるため、積極的に動いてくれるわけではありません。保険会社任せにし過ぎていると、満足・適切な等級を認定されない可能性もあります。

事前認定と被害者請求の違い

申請方法として、任意保険会社を経由して申請を行う事前認定と被害者自身が書類を集めて申請を行う被害者請求の2種類があります。概要は以下の通りです。

事前認定とは

認定申請時に必要な書類として、まず医師によって作成された診断書を作成・提出しなければなりません。

作成後、加害者側の任意保険会社へ提出する流れとなりますが、自賠責保険会社へ提出する書類は全て任意保険会社が対応してくれます。

書類を一つ一つ集める手間が省ける一方、書類の不備などに気付かず認定されないケースが稀にあります。

被害者請求とは

被害者自身が自賠責保険会社へ提出する書類を集めるため審査までに時間がかかる一方、書類の不備などに気付いて対応できるため、書類不備によって認定不可となるケースは回避できます。

申請に必要となる書類の一覧は以下の通りです。

書類名 受取及び申請場所 手数料
自賠責保険支払請求書兼支払指図書 任意保険会社から送付
交通事故証明書 ・事故現場を管轄する各都道府県又は最寄りの自動車安全運転センター窓口
・郵便振替による交付申請
・インターネットからの申込
※申請用紙は警察署、交番、自動車安全運転センターにて受取可能
1通540円
・郵便振替の場合+70円
・コンビニの場合+130円
診療報酬明細書及び診断書 ・任意保険会社が管理している場合、コピーにて送付してもらう
※国民健康保険を使用している場合、指定の診断書を使用・作成するよう病院へ依頼
後遺障害診断書 病院側にて作成してもらう
レントゲン、MRI画像

後遺障害等級の申請可能な期間と認定が下りない場合の対応方法

申請のタイミングとして二度手間となる可能性が高いタイミングは事故後症状固定と判断されていない状態での申請です。症状固定前に申請すると許可が下りないケースがあります。

被害者請求の場合 加害者請求の場合
傷病の場合 事故日から3年以内 加害者が被害者・病院などに賠償金を支払ったときから3年以内
後遺障害を負った場合 症状固定日から3年以内
死亡の場合 死亡日から3年以内

また、保険金支払請求の時効期限内を過ぎると無効となるため注意が必要です。

認定結果に納得できない場合、自賠責保険会社へ異議申し立てを行い、再審査を申請することができます。認定結果は2~6ヶ月を要しますが、新しい書類を提出しなければ認定結果が覆ることはありません。

後遺障害3級の認定獲得の条件とは

後遺障害は、その認定条件に該当しなければ認定されません。後遺障害3級は比較的重度な等級であり、認定条件も重く、「労働できないこと」が基本です。一生涯労働するのは難しいことが認定のために必要となります。

3級3号は高次脳機能障害など脳や神経の障害で、客観的に判定が難しいと考えられています。審査でも特別な事例として分けて調査が行われるものです。

後遺障害3級の慰謝料は弁護士に依頼すれば増額できる!?

後遺障害3級の慰謝料は高額となり、請求方法による差も大きくなります。そのため請求方法は有利なものを選び、より高い金額の請求を目指すことが大切です。

弁護士に依頼すれば、示談交渉から弁護士基準を使うことができ、最終的に裁判でも争うことができます。

任意保険の保険会社では、自社で支払う金額を抑えようと働きかける場合もあります。個人で示談交渉をすることで、不利な結果になることもあるので注意が必要です。

弁護士に依頼して請求すれば、高い慰謝料相場で請求でき、増額できる見込みがあります。また後遺障害を負った時に請求できるお金が、後遺障害慰謝料だけではないのもポイントです。