【後遺障害4級】高額な慰謝料請求する為の3基準と認定判断に重大な2要素
- 2019/3/26
- 2021/09/27
後遺障害4級は、後遺障害等級の中で4番目に重い等級となります。生活や労働、学業などに大きな支障をきたす等級となります。後遺障害4級が認められる事例は以下の通りです。
- コンタクトや眼鏡をかけた状態で視力が0.06以下になる
- 片腕の肘より下を失う
- 両手の指を失う又は動かない
上記のようなケースが当てはまる場合、後遺障害4級と相当されます。症状や認定される条件、損害賠償請求する際に必要となる情報などをお伝えします。
Contents
後遺障害4級に当てはまる症状と賠償金額事例
後遺障害等級とは
後遺障害とは、病気や怪我などの後に残る後遺症と呼ばれる障害のうち、交通事故が原因のものです。
1級 | 2級 | 3級 | 4級 | 5級 | 6級 | 7級 |
8級 | 9級 | 10級 | 11級 | 12級 | 13級 | 14級 |
※該当等級をクリックすると各ページへ移動します。
後遺障害には、障害の内容や部位、重さなどから、1級から14級まで等級が定められています。交通事故で後遺症が残った場合、その症状に当てはまる等級を認定してもらいます。
後遺障害4級の部位ごとの障害状況
部位 | 後遺障害 |
眼の障害 | 1号.両眼の視力が0.06以下になったもの |
耳の障害 | 3号.両耳の聴力を全く失ったもの |
口の障害 | 2号.咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの |
上肢の障害 | 4号.1上肢を肘関節以上で失ったもの |
下肢の障害 | 5号.1下肢を膝関節以上で失ったもの 7号.両足をリスフラン関節以上で失ったもの |
手指の障害 | 6号.両手の手指の全部の用を廃したもの |
【詳しく解説】
1号 | 矯正視力で測り、両目の視力が0.06以下となった状態です。両目の視力が0.02以下の場合には後遺障害2級2号にあたります |
2号 | 咀嚼能力や言語機能に著しい障害を残した状態です。「著しい障害」の定義としては、咀嚼能力はおかゆや柔らかい食べ物を食べられる程度を指します。 また、言語機能に関しては口唇音、歯舌音、口蓋音、咽頭音のうち2つが発音できない、又は綴音機能に障害があって言語での意思疎通ができない状態にあたります |
3号 | 両耳の聴力を完全に失った状態です |
4号 | 片腕を肘関節以上で失った状態です。利き腕かどうかは認定に関係ありません |
5号 | 片脚を膝関節以上で失った状態です。こちらも利き足かどうかは考慮されません |
6号 | 両手の指すべての機能を失った状態です。切断のほか、神経に障害があり動かなくなった場合も当てはまります |
7号 | 両足をリスフラン関節以上で失った状態。リスフラン関節は、足の甲のほぼ中間にある関節です |
後遺障害4級の慰謝料相場・逸失利益と3つの慰謝料基準
後遺障害4級に認定されたら、慰謝料の請求を考えることが必要です。後遺障害慰謝料には、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準という3つの相場があります。
弁護士基準がもっとも高く、次いで任意保険基準、もっとも低いのが自賠責基準です。それぞれの慰謝料相場について詳しく見ていきましょう。
後遺障害等級慰謝料
後遺障害等級 | 自賠責保険 | 任意保険 | 弁護士会 |
---|---|---|---|
要介護の第1級 | 1,600 | – | – | 要介護の第2級 | 1,163 | – | – |
第1級 | 1,100 | 1,850 | 2,800 |
第2級 | 958 | 1,450 | 2,370 |
第3級 | 829 | 1,150 | 1,990 |
第4級 | 712 | 850 | 1,670 |
第5級 | 599 | 750 | 1,400 |
第6級 | 498 | 650 | 1,180 |
第7級 | 409 | 550 | 1,000 |
第8級 | 324 | 450 | 830 |
第9級 | 245 | 350 | 690 |
第10級 | 187 | 250 | 550 |
第11級 | 135 | 200 | 420 |
第12級 | 93 | 150 | 290 |
第13級 | 57 | 65 | 180 |
第14級 | 32 | 45 | 110 |
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後遺障害4級、逸失利益の計算例
後遺障害逸失利益とは、後遺障害にならなければ得られたであろう将来の収入です。
逸失利益は、以下の計算式で求めることができます。
逸失利益=年収額×労働能力喪失率×被害者の年齢に応じたライプニッツ係数
弁護士基準
弁護士基準の慰謝料相場は、3つの基準の中でもっとも高いものとなります。民事裁判の過去の事例がもとになっているため、より被害者に寄り添った金額と言えます。
後遺障害4級の相場としては、自賠責基準の慰謝料の倍以上である1670万円となります。
自賠責基準
自賠責基準の慰謝料額は、自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準によって定められています。
後遺障害4級では、712万円です。上記のとおり自賠責基準の慰謝料は、3つの基準の中でもっとも低い必要最低限の金額です。
任意保険基準
任意保険の慰謝料相場は、各保険会社によって定められており、正確な相場はありません。平成11年までは任意保険統一支払基準というものが存在しましたが、現在は廃止されています。
しかし、現在でもこの統一基準を元に基準を決めている保険会社もあるようです。一般的に自賠責基準の慰謝料よりは高く、弁護士基準よりは低いと言われています。
後遺障害以外の慰謝料
請求項目 | 内容と慰謝料の相場 |
---|---|
入通院慰謝料 | 4,200円/日 【相場】 ・通院1ヶ月につき10~20万円 ・入院1ヶ月につき約30~50万円 |
後遺障害慰謝料 | 自賠責保険の後遺障害等級第1級では1100万円 |
死亡慰謝料 | 一家の大黒柱:2,600~3,000万円 これに準ずる者(配偶者):2,300~2,600万円 それ以外の者:2,000~2,400万円 |
後遺障害慰謝料以外の損害賠償費
治療費関係費 | 治療費や入院費が該当 |
看護料 | 通院付添費:2050円/日 |
入通院慰謝料 | 4200円/日 |
入院雑費 | 1500円/日 |
通院交通費 | 通院に要した交通費など |
その他 | 将来介護費・装具購入費・学費・家庭教師代など |
休業損害 | 5700円/日 |
傷害慰謝料 | 入通院期間に基づいて算定(あまりにも入院などが長い場合) |
逸失利益 | 後遺障害が残ったことで失われた利益 【逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除係数】 |
後遺障害4級の判例
神戸地方裁判所判決、平成16年(ワ)第1145号事件
概要:交差点において、被害者が乗っているバイクが右折するために右側へ進路変更した際、加害車が右側から追い越そうとし衝突
慰謝料:2,200万円(逸失利益7550万認められました)
東京地方裁判所判決、平成14年(ワ)第1912号事件
概要:信号機のない交差点で、被害者が運転している原動機付自転車と加害者運転の車両が衝突
慰謝料:2,020万円(逸失利益9370万認められました)
さいたま地方裁判所第4民事部の判決、平成22年(ワ)2231号事件
概要:道路の左側端を歩いていた被害者に対し、後方から大型貨物自動車が衝突
慰謝料:2,120万円(逸失利益6748万認められました)
後遺障害4級の認定してもらうための重要な6つの書類
後遺障害申請を行う場合、まず病院に「後遺障害診断書」を作成してもらわなければなりません。作成後、自賠責保険会社に対し後遺障害申請を行います。
申請を行うにあたって加害者の任意保険会社を経由する事前認定と被害者自ら申請を行う被害者請求の二つがあります。
事前認定と被害者請求の違い
後遺障害申請は後述に記載している通り、6つの書類が必要となります。事前認定の場合、加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を提出するだけで残りの書類を被害者自身が準備することはありません。
それに対し、被害者請求の場合は全ての書類を被害者自身で用意しなければなりません。
ただし、被害者自身が用意するため、書類のミスに気付く事ができ、訂正しながら収集することが出来ますが事前認定の場合、書類ミスによって認定が下りないケースも稀に発生します。
申請に必要となる書類の一覧は以下の通りです。
書類名 | 受取及び申請場所 | 手数料 |
自賠責保険支払請求書兼支払指図書 | 任意保険会社から送付 | – |
交通事故証明書 | ・事故現場を管轄する各都道府県又は最寄りの自動車安全運転センター窓口 ・郵便振替による交付申請 ・インターネットからの申込 ※申請用紙は警察署、交番、自動車安全運転センターにて受取可能 |
1通540円 ・郵便振替の場合+70円 ・コンビニの場合+130円 |
診療報酬明細書及び診断書 | ・任意保険会社が管理している場合、コピーにて送付してもらう ※国民健康保険を使用している場合、指定の診断書を使用・作成するよう病院へ依頼 |
– |
後遺障害診断書 | 病院側にて作成してもらう | – |
レントゲン、MRI画像 | – | – |
後遺障害等級の申請可能な期間と認定が下りない場合の対応方法
後遺障害申請そのものに対する時効はありませんが、後遺障害申請後保険金請求の手続きを進めるため、保険金請求の時効より前に行う必要があります。
被害者請求の場合 | 加害者請求の場合 | |
傷病の場合 | 事故日から3年以内 | 加害者が被害者・病院などに賠償金を支払ったときから3年以内 |
後遺障害を負った場合 | 症状固定日から3年以内 | |
死亡の場合 | 死亡日から3年以内 |
申請のタイミングとして、医師が症状固定だと判断したタイミングであれば何時でも問題はありません。また、認定が下りない理由は様々ですが、何度でも申請は可能です。
後遺障害4級の認定される2つのケースとは
交通事故で後遺症が残っても、後遺障害等級の条件を満たしていなければ後遺障害であると認定されません。上記のとおり、後遺障害4級の条件には目や口の機能と手足の欠損などがあります。
手足を失った状態などは、比較的後遺障害認定を受けやすいでしょう。機能に関しては、自覚症状と他覚所見、検査結果などを慎重に審査することになります。
後遺障害は、基本的に以下2ケースで認定されます。
- 単独の後遺障害で4級になるケース
-
単独とは、後遺障害の認定条件に、1つだけ当てはまることを言います。単独4級は、上記の条件に1つだけ当てはまり、それ以外の後遺障害がないケースです。
後述しますが、4級の条件を満たしたうえで他の後遺障害が認められる場合、後遺障害等級が1~3上がる場合があります。
- 併合で後遺障害4級になるケース
-
13級以上の等級では、後遺障害の症状が複数あった場合、その組み合わせで等級を決められることがあります。これを併合と言います。
複数の後遺障害のうちもっとも重い等級をベースに、他の後遺障害を考慮して等級が上がるのです。
併合のルールは5級以上の後遺症が複数ある場合は3等級アップ、8級以上は2等級アップ、13級以上は1等級アップです。
後遺障害4級に相当する障害が複数ある場合、4級よりも上の等級になる可能性もあります。
後遺障害4級の慰謝料は弁護士に依頼すれば増額できる!?
後遺障害4級の慰謝料は高額になることが多く、請求の仕方によってはその差額も大きくなります。そのため、より有利に進められる弁護士基準で請求することが大切です。
示談であっても過去の判例をもとに増額の請求ができ、最終的に受け取る金額を増やせる見込みが高くなります。弁護士基準で慰謝料を請求したい場合は、弁護士に依頼して示談や裁判をしてもらいましょう。
また、後遺障害4級に認定されない、上の等級が適切なのではと感じた場合も、弁護士に依頼することは有効です。認定をやり直す手続きを代行してもらえます。
保険会社との示談交渉をはじめ、認定の手続きや裁判など、専門的な知識がないと難しいことや手間のかかることは多いものです。
そういった点から考えても、弁護士に依頼することがベストとなるでしょう。特に交通事故案件の対応実績が豊富な弁護士なら、安心して任せられます。
弁護士に依頼をするなら早い段階から相談し、早期に介入してもらうことをおすすめします。