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加害者死亡!?交通事故における賠償金請求方法と5つの請求先

  • 2019/4/22
  • 2021/07/07

交通事故が発生したら、通常は加害者や保険会社に対して損害賠償請求できます。しかし事故で加害者が死亡してしまったら、誰に賠償金を払ってもらえば良いのでしょうか?

今回は、交通事故で加害者が死亡した場合の損害賠償請求の相手先や、補償を受ける方法について解説します。

交通事故が起きた際に被害者がやるべき事

交通事故が起こったら、被害者はまず以下のような対処をしましょう。

相手を救護する

即死ではなかったとしても加害者が死亡するほどの交通事故ならば、事故現場で相手は深く受傷しているはずです。交通事故の当事者(車両の運転者や同乗者)にはけが人の救護義務があるので、被害者の立場であっても必ず相手を救護しましょう。即死なのか判断がつかない場合もあるため、まずは救急車を呼ぶ事が重要です。

警察を呼ぶ

交通事故に遭ったら、必ず警察を呼びましょう。加害者であっても被害者であっても同様です。ただし大事故で自分も動けなくなっていた場合、周りの人に頼んで呼んでもらってもかまいません。

実況見分の際に警察に詳細を説明する

警察が到着したら、現場の「実況見分」が始まります。実況見分の際には、警察に対して事故状況を正確に説明する事が必要です。その際の説明内容が実況見分調書に反映され、後の刑事処分や民事の示談・裁判の証拠となります。

相手の素性を確認する

警察がやってきて、相手の車から車検証等を出して加害者の氏名等がわかったら、メモを取っておきましょう。保険会社名もわかれば控えておきます。

保険会社に連絡を入れる

事故現場から解放されたら、すぐに自分が契約している保険会社に連絡を入れましょう。事故現場と時間、事故の状況を伝える必要があります。大事故で相手が死亡した可能性がある事も伝えておくと良いでしょう。

病院に行く

加害者が死亡するほどの大事故なら、自分も深刻な傷を負っている可能性があります。必ず病院に行きましょう。

加害者死亡の際、誰に損害賠償を請求するのか

一般的な交通事故では、被害者は加害者に対して損害賠償請求できます。しかし、加害者が死亡してしまったら誰に賠償をしてもらえるのかが問題です。

加害者が死亡した場合、本人に代わって責任を負う可能性があるのは、保険会社や加害者の遺族(相続人)あるいは加害者の雇用者や車の所有者です。

自賠責保険、共済

加害者が自賠責保険や共済に入っていた場合、自賠責保険会社は自賠責基準で保険金を計算して被害者へ支払います。加害者が死亡・生存に関わらず同じ方法です。

任意保険

加害者が任意保険の「対人賠償責任保険」や「対物賠償責任保険」に入っていた場合、任意保険会社は自賠責の限度額を超える部分の賠償金を、被害者へ支払う義務を負います。

遺族

遺族は加害者の損害賠償義務を相続するので、加害者が保険に入っていなかった場合は被害者へ賠償金を支払う必要があります。

雇用者

加害者が業務中に運転をしていて交通事故を起こした場合、加害者の雇用主である会社が「使用者責任」を負います。そこで被害者は、相手の勤務先の会社へ賠償金の請求が可能です。

車の所有者

加害者が自分の車ではなく友人や家族などが所有する車を運転していた場合、車の所有者は「運行供用者責任」という責任を負います。車の所有者は、車の運行によって利益を得て運転を支配しており、発生した損害についても責任を負うためです。

以下では被害者であるあなたが自賠責保険や任意保険、遺族に対してどのくらいの賠償金を請求できるのか、また加害者が自賠責保険に入っていない場合に利用できる「政府保障事業」について説明します。

加害者が自賠責保険に加入していた場合の補償額は?

自賠責保険は強制加入の保険であり、車を運転する際には必ず加入しておく事が必要です。加害者が死亡した場合でも、加害者が「自賠責保険」に加入していたら被害者は自賠責保険から保険金を受けとれます。ただし自賠責保険は「被害者を救済するための最低限の保険」という位置づけであり、支払われる保険金額は決して高くありません。

たとえば後遺障害の残らなかった傷害事故では、限度額が120万円です。また入通院慰謝料についても、基本的に「4,200円×治療期間」の金額しか支払われません。

後遺障害慰謝料の金額も、以下の通り裁判での相場よりかなり低くなっています。

第1級 1,100万円
(要介護の場合1,600万円)
第2級 958万円
(要介護の場合1,163万円)
第3級 829万円
第4級 712万円
第5級 599万円
第6級 498万円
第7級 409万円
第8級 324万円
第9級 245万円
第10級 187万円
第11級 135万円
第12級 93万円
第13級 57万円
第14級 32万円

※各後遺障害等級に関する概要は上記表の該当等級をクリックしてください

加害者が任意保険に加入していた場合の補償額は?

自賠責から支払われる保険金額だけでは、被害者への補償として十分ではない事が多いです。その場合、被害者は加害者の「任意保険」に対して賠償金を請求できる可能性があります。死亡した加害者が生前に任意保険に入っていた場合、任意保険は被害者に対して自賠責で足りない部分の損害額を支払います。

※任意保険会社の「限度額」は、加害者が生前に定めていた金額です

多くの人が対人賠償責任保険について2億円や無制限としており、限度額の制限によって支払いを受けられないケースは少なくなっています。

また任意保険会社の場合、自賠責保険よりは支払われる金額が高額になります。ただし被害者が自分で任意保険会社と示談交渉を進める場合、保険会社独自の「任意保険基準」を適用されるのでさほど高い金額にはなりません。任意保険会社の基準は各保険会社によって異なりますが、自賠責基準より多少高い程度の金額になる事が一般的です。

※被害者が高額な法的基準である裁判基準や弁護士基準で支払いを受けるためには、弁護士に示談交渉を任せるか、相手に訴訟を起こす必要があります。

加害者が「自賠責保険(共済)」「任意保険」に加入していない場合の補償額は?

もしも事故で死亡した加害者が「自賠責保険」にも「任意保険」にも加入していなかった場合、被害者は誰に損害賠償請求できるのでしょうか?

遺族に全額の損害賠償を請求可能

この場合、責任を負うのは「遺族」です。遺族と言っても親族なら誰でも責任を負うものではなく、「法定相続人」が損害賠償義務を相続します。法定相続人となるのは、まずは加害者の配偶者や子どもです。子どもがいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹が法定相続人となります。

加害者の遺族に請求するときには「限度額」はなく、発生した損害の全額を請求可能です(ただし被害者の過失割合分は過失相殺されます)。

※ただし遺族に支払能力がないケースもあり「相続破棄」される可能性もあります

政府保障事業を利用できる

加害者が自賠責保険に入っていなかった場合、「政府保障事業」を利用できます。政府保障事業とは、被害者が自賠責保険からも補償を受けられない場合に備え、政府が代わりに最低限の補償を実施する制度です。遺族に請求するケースでも、相手が自賠責保険に入っていない限り政府保障事業は適用されます。

政府保障事業を利用できるのは、以下のような場合です。

  • 加害者が自賠責保険や共済に入っていない
  • ひき逃げされたため相手方が不明
  • 盗難車による交通事故などで自賠責が適用されない

※政府保障事業によって支払われるお金を「てん補金」と言いますが、てん補金の算定方法は自賠責基準と同様です。発生した損害全額の補償を受ける事は難しいため、不足分については遺族や雇用者、車の所有者などの責任を追及する必要があります。

弁護士に相談するのがベスト

交通事故で加害者が死亡した場合でも、相手が任意保険に入っていたら一般の交通事故と同様に示談交渉を進め、成立すれば賠償金の支払いを受けられます。しかし相手が保険に入っていない場合、請求先をしっかり検討して確実に補償を受けられるよう工夫する事が必要です。

加害者の相続人調査などが必要になり、被害者個人の力では解決できないケースも多々あります。困ったときには、交通事故に強い弁護士に相談してみましょう。