交通事故の示談金の振込時期はいつ?振込が遅れる要因を解説!
- 2021/6/29
- 2021/08/02
交通事故に遭われた方は、治療費の支払いや仕事を休んだ分の減収など、金銭的な負担を強いられることがあります。相手方からの賠償が遅れれば、数ヶ月後、ひいては1ヶ月後の生活に困ってしまう被害者がいることも事実です。
よって交通事故に遭われた方としては、相手方保険会社から示談金を早く受け取りたいと考えるのが当然でしょう。その反面、示談金は得てして被害者の希望通りの時期に振り込まれるものではありません。示談金の支払いまでに数年を要するケースもあります。
では、なぜ示談金の支払い時期は希望通りにならないケースがあるのでしょうか?
※この記事では、示談金の振り込みまでに行なわれる手続きや、振り込みが遅れる際の対応などをご紹介します。示談金がなかなか振り込まれずお困りの方は、参考になさってみてください。
Contents
交通事故の示談金はいつ振り込まれる?
実は、保険会社や弁護士等の交通事故の専門家であっても、「示談金がいつ振り込まれるか」を正確に予想することは困難です。
以下では、その理由や示談金が振り込まれるまでの流れをご紹介します。
支払い時期は怪我の重さや交渉の進捗によって異なる
そもそも示談金が振り込まれるのは示談交渉が成立した後です。その示談交渉の前に、怪我の治療が長引いたり、過失割合に関する協議が長引いたりすれば、その分示談金の支払い時期は先延ばしとなります。
よって、結論は「示談金の振り込み時期はケースによって異なる」ということになります。
事例として、交通事故発生~示談金の振り込みまでの期間は、早ければ数ヶ月、後遺障害等級認定の申請や訴訟を提起する場合などは1年以上かかるケースもあるようです。
示談金が振り込まれるまでの流れ
示談金振り込みまでの流れ
怪我が完治した場合
- 交通事故発生
- 治療
- 車両や携行品の修理
- 完治
- 示談交渉
- 交渉が決裂すれば、紛争処理センター等のADR機関の利用・調停・訴訟
- 示談成立
- 示談金の振り込み
後遺症が残った場合
- 交通事故発生
- 治療
- 車両や携行品の修理
- 症状固定
- 後遺障害等級認定の申請
- 等級認定/非該当
- 等級内容や非該当であることに不満な場合は異議申し立て
- 示談交渉
- 交渉が決裂すれば、紛争処理センター等のADR機関の利用・調停・訴訟
- 示談成立
- 示談金の振り込み
示談成立~示談金支払いまでの期間の目安
多くの保険会社は「被害者が必要な手続き済ませてから30日以内に支払う」としています。
事案や保険会社の担当者によって様々ですが、示談成立後3営業日~2週間程度で振り込まれることが一般的なようです。
ただし前述したように、示談金の振り込み時期を大きく左右するのは“示談交渉より前”です。ではその示談交渉より前の段階に、どのような要因があるのでしょうか。チェックしていきましょう。
交通事故の示談金の支払い時期が遅れる6つの要因
示談金の支払い時期が遅れる主な要因は、以下の6つです。
では、以上の要因はなぜ起きてしまうのか?その根本的な原因をご紹介します。
示談金の支払いが遅れる理由①:治療期間の長期化
といったことが要因となり、治療期間が長引くことがあります。治療が終わらなければ、慰謝料や治療費などの損害額を算定することができず、示談金の支払い時期が遅れることになります。
- ポイント
- 治療期間が長期化することで、示談金の支払い時期はその分後ろにずれ込みますが、示談金を早く手にしたいがために、痛みが残っていても治療を終了するといったことは避けるべきです。
示談金の支払いが遅れる理由②:後遺障害等級認定の申請手続き
治療を継続しても症状が改善されず、一進一退を繰り返す状態を「症状固定」といいます。
症状固定と診断された場合、後遺障害等級認定の申請手続きを行ないます。しかし、その等級認定に要する期間は一般的に1~2ヶ月程度となります。さらに審査に時間を要するケースでは、さらに時間がかかることもあるようです。
認定結果に納得できない場合は、何度でも異議申し立てをすることができますが、この異議申し立ても時間を要するものとなっています。
- ポイント
- 数ヶ月の期間を要する可能性の高い手続きではあるものの、等級が認められれば示談金の増額が見込めます。
示談金の支払いが遅れる理由③:過失割合の協議の長期化
事故状況について双方の言い分が食い違っている場合や、お互いに過失割合について納得できない場合などは、協議が長引くケースがあります。
- ポイント
- 協議が長引くことを避けるために安易に妥協すると、相手の言い分が一方的に反映された過失割合に合意することになりかねません。自身の言い分を立証できる証拠を提示する、お互いが納得できる妥協策で合意するなどの工夫が必要です。
示談金の支払いが遅れる理由④:示談金額の交渉の長期化
示談金額について双方の主張に折り合いがつかない場合、主張を立証するための期間も必要となるため長期化する可能性があります。
- ポイント
- この場合も、示談金を早く手にしたいがために妥協すると、自身にとって不利な示談金で合意してしまう恐れがあります。
示談金の支払いが遅れる理由⑤:保険会社の対応待ち
保険会社の担当者によって対応スピードが異なります。また連絡が行き違いになるなどして、交渉がスムーズに進まないことも考えられます。
示談金の支払いが遅れる理由⑥:事故相手が任意保険に未加入
事故相手が任意保険に加入していない場合は、相手方の自賠責保険から損害賠償を受けることになります。
ただし自賠責保険には「120万円(死亡・後遺障害を伴わない傷害の場合)」という支払い上限額があり、それを超える額については、事故相手本人に請求することとなります。
そこで事故相手に資産がなければ、分割で支払いを受けるとしても、完済までに長い時間を要する可能性があります。
交通事故の示談金を早く支払って欲しくても妥協しない
前述した「示談金の支払い時期が遅れる要因」は、確かに“支払い時期が遅れる要因”ではあります。ただし一方では“適正な示談金を得るために必要な時間”と考えるべきものもあります。早く支払ってほしいからといって妥協をするのは得策ではありません。
といったように、安易に妥協することで不利な状況に陥る可能性があります。
交通事故の示談金を早く支払って貰わないと生活できない!そんな時は?
「示談金を早く支払って欲しいが、妥協はしたくない。でも示談金を早めに支払って貰わないと生活に困ってしまう…」
このような、示談金の早期振り込みが期待できない時、別の方法で当面の生活費を請求することが可能です。どのような方法があるか、見ていきましょう。
自賠責保険に直接請求する
相手方任意保険会社ではなく、相手方自賠責保険会社に請求する方法です。損害賠償額の確定前(治療期間中など)であっても、損害賠償金の請求が可能です。
ただしこの場合、多くの書類提出が必要かつ支払いまでに1ヶ月程度かかる可能性があります。
自賠責保険に仮渡金を請求する
当面の費用にお困りの被害者を救済するため、自賠責保険では仮渡金の制度を設けています。
この仮渡金の場合は、前述した自賠責保険へ直接請求するよりも、申請に必要な書類が少なく準備にかかる時間が短くなります。また申請から支払いまでの期間も短く、請求から1週間程度で支払われることが多いようです。
ただし、仮渡金の請求ができるのは一度のみであったり、返金しなければならない可能性があったりという注意点があります。
自身の任意保険を利用する
過失割合が決まっていないなどの理由で相手方保険会社が治療費等を払ってくれない場合には、ご自身の自動車保険に人身傷害補償保険特約をつけていれば、そちらを利用することが可能です。
過失割合に関係なく、示談を待たずに、保険会社の約款に定められた基準に従い算出された損害額の補償を、保険金額を限度として受け取れる場合があります。
まとめ:弁護士に依頼することでメリットが一番大きい対応方針を聞ける!
以上のように、示談金の振り込み時期が遅れる理由は様々です。当面の費用を補うため、「どこに」「どのような」請求をすると一番メリットが大きいかは、それぞれの事案によって異なります。
被害者ご自身で「どこに」「どのような」請求をするかを検討するには、多くの時間と労力と幅広い知識が必要になりますので、交通事故問題を得意とする弁護士にご相談ください。