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バイク事故によくある4つのケースの過失割合と3パターンの慰謝料相場

  • 2019/4/2
  • 2019/05/31

バイクに乗っていると、自分の体を守るものがない分、小さな交通事故でも大きな怪我を負う可能性が高いです。怪我が重傷であった場合には、後遺症が残ることもありますが、後遺障害等級認定を受ければ加害者側に相当額の損害賠償を請求することができます。

また、交通事故の慰謝料には複数の種類がありますが、被害者が請求できるのは以下3つです。

入通院慰謝料 入通院が必要になるほどの負傷を負い、精神的苦痛への損害賠償
後遺障害慰謝料 後遺症を患ったことによる精神的苦痛への損害賠償
死亡慰謝料 被害者が亡くなり、その遺族へ対する損害賠償

※物損事故の場合、原則慰謝料を請求することは出来ません。

慰謝料の3基準と相場について

バイク事故を含めた交通事故における後遺障害等級の認定を受けると、その等級に応じた後遺障害慰謝料を受けることが可能です。後遺障害慰謝料の計算には、以下の3つの基準があります。

自賠責基準

自賠責基準は、被害者への補償について最低限の金額を設定しているものです。そのため、3つの基準のうち金額は最も低く、さらに等級ごとに上限額が設けられています。たとえば、後遺障害1級の場合の慰謝料は1,100万円が相場で、その他の賠償額を合わせた上限額は3,000万円とされています。

任意保険基準

任意保険基準は、それぞれの保険会社が独自に設定している非公表の基準です。その計算方法については、平成11年までは統一された基準がありましたが、それ以降は廃止されて保険会社ごとの基準が設けられるようになりました。とはいえ、以前の基準を目安として相場をあげるとすれば、後遺障害1級の慰謝料はおよそ1,300~1,600万円となるでしょう。

弁護士基準

弁護士基準とは、過去にあった交通事故の判例をもとにして設定された基準を指します。参考にされている判例は、日弁連本部発行の「交通事故損害額算定基準」(青本)、日弁連東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(赤い本)に掲載されているものです。

3つの基準の中では慰謝料が最も高額となり、相場は後遺障害1級で2,800万円程度とされています。

バイク事故における4つのケースの過失割合

バイクと自動車の交通事故において、過失割合の判断で一番難しいのは出会いがしらの事故です。基本的には自動車側の過失責任が高く、バイク側の方が保護されます。

ただし、どちらも道路交通法を遵守する必要があるため、明らかな違反(信号無視や一時停止義務違反等)の場合は自動車側よりもバイク側の過失責任が高くなります。

以下は4つのバイク事故におけるケースです。

左折車と直進バイク事故の事故


概要:前方を走行している自動車が左折する際に、後方の直進走行しているバイクと衝突した場合
結論:事故状況によって過失割合が異なる場合がありますが、原則バイク20:自動車80となります。例えば、バイク側の前方不注意や15km以上の速度違反があった場合、それぞれ10%加算されます。

右折車と直進バイク事故の事故


概要:信号のない交差点でバイクが直進、対向車の自動車が右折しようとして衝突した場合
結論:事故状況によって過失割合が異なる場合がありますが、原則バイク15:自動車85となります。
例えば、バイク側の前方不注意や15km以上の速度違反があった場合、それぞれ10%加算されます。一方、自動車側は大型であれば5%、指示合図無しの場合や大回り・急ハンドルで曲がった場合はそれぞれ10%加算されます。

自動車左折時の巻込み事故

概要:自動車左折時の内側にバイクが走っており、内輪差によて巻込み事故が発生する場合
結論:①と同ケースと考えるのが妥当なため、過失割合もバイク20:自動車80となります。ただし、自動車があらかじめ左端によっている場合、バイク40:自動車60となります。

停車中の自動車がドアを開けたことによる事故

概要:前方を走っていた自動車が停車しドアを開けた際、後続の直進走行していたバイクに衝突した場合
結論:バイク10:自動車90となりますが、予測できる事情や速度違反があった場合は10~30%ほど加算されます。また、自動車側がハザードランプ等の合図を出していない場合は5%加算されます。

ある程度の過失割合は決まっていますが、事故状況によって減算・加算がされます。

バイク事故による3ケースの慰謝料相場

入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料は、病院での治療期間をベースに相場が決まっています。1ヶ月~6ヶ月の相場は以下の通りです。

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料の場合、亡くなった被害者の家族構成・収入によって相場が異なります。
【自賠責基準の死亡慰謝料相場】

通院期間 自賠責基準 任意保険基準 弁護士基準
1ヶ月 84,000円 126,000円 280,000円
2ヶ月 168,000円 252,000円 520,000円
3ヶ月 252,000円 378,000円 730,000円
4ヶ月 336,000円 478,000円 900,000円
5ヶ月 420,000円 568,000円 1,050,000円
6ヶ月 504,000円 642,000円 1,160,000円
請求する要項 慰謝料額
死者本人に対する慰謝料 350万円
死亡者が扶養していた場合 200万円
慰謝料を請求する遺族が1人 550万円
慰謝料を請求する遺族が2人 650万円
慰謝料を請求する遺族が3人 750万円

【任意保険基準と弁護士基準の死亡慰謝料相場】

死亡者の立場 任意保険基準 弁護士基準
一家の支柱 1,500~2,000万円 2,800万円
配偶者又は母親 1,500~2,000万円 2,500万円
上記以外 1,200~1,500万円 2,000~2,500万円

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害等級の場合、弁護士基準だと110万円~2,800万円ほど貰えますが、自賠責基準の場合32万円~1,100万円程度となります。

上記を見る限り弁護士基準が一番慰謝料額高いことが分かります。

バイク事故における等級認定の流れ

バイク事故で後遺症を負い、労働能力の低下および喪失があった場合には、後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。そして等級が認定されれば、症状の程度に相当する慰謝料を含めた損害賠償を受けられるのです。

後遺障害等級の認定を受けるためには、自賠責保険会社への申請手続きが必要です。その手続き方法には、以下の2つがあります。

事前認定

事前認定とは、加害者側の任意保険会社が被害者に支払う賠償額について、あらかじめ後遺障害等級を把握し、賠償額を事前に知るための手続きです。この手続きでは、任意保険会社が必要書類の大半を集めて、加害者側の自賠責保険会社に申請を行います。そのため被害者は、医師から発行された「後遺障害診断書」を任意保険会社に提出するだけで手続きが終了します。

被害者請求

被害者請求とは、被害者自ら認定申請の手続きを行う方法です。前述の後遺障害診断書を医師に作成してもらうほか、主に以下のような書類を用意する必要があります。

・自賠責保険金請求書
・交通事故証明書
・事故発生状況報告書
・治療診断書
・診療報酬明細書
・通院交通費明細書
・レントゲン、CT、MRI等による検査画像

これらの書類をまとめて、被害者が加害者側の自賠責保険会社に直接送付する手続きを行うのです。
以上、2つの方法において、後遺障害等級認定までの流れを大まかに紹介します。

  • 治療の過程で症状固定と医師に判断される
  • 「後遺障害診断書」を医師に作成してもらう
  • 事前認定の場合は「後遺障害診断書」を加害者側の任意保険会社に提出する
  • 被害者請求の場合は、必要書類をすべてそろえて加害者側の自賠責保険会社に提出する
  • 申請内容について、損害保険料率算出機構が調査を行う
  • 後遺障害等級認定の可否が決定する
  • 事前認定の場合は、自賠責保険会社から任意保険会社を通じて被害者に結果が通知される
  • 被害者請求の場合は、自賠責保険会社から直接被害者に結果が通知される

相手方の保険会社の言い分を鵜呑みにしない!必ず弁護士に相談を!

バイク事故における後遺障害に関しては、計算基準は3つ存在するものの、自動車事故の場合と計算方法などは変わりません。また、バイクと自動車の事故に関しては、バイクの方がいくらか優遇されるのが一般的です。

しかし、加害者側の任意保険会社と被害者が示談を直接行うと、賠償額や過失割合について加害者側に有利な条件のまま押し切られるケースも少なくありません。そのような事態を避けるためには、弁護士を代理人として立てるのが得策でしょう。もしバイク事故に遭った場合は、まず弁護士に相談してみてください。