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知るだけで必ず得する交通事故の精神的苦痛に対する3つの慰謝料基準

  • 2019/4/1
  • 2019/09/26

交通事故の被害者になった場合、加害者に対して損害賠償や慰謝料を請求することができます。損害賠償は主に物や人体への損害に対する賠償金、その中でも慰謝料は、人体への損害もしくは死亡による精神的苦痛に対して支払われるお金です。

  • 大切な人が亡くなった
  • 身体に後遺障害が残り、その結果仕事を失った又は婚約破棄になった
  • 流産することとなった

上記に挙げている苦痛はごく一部ですが、そうしたケースも含め交通事故における慰謝料と損害賠償について詳しく解説します。

知っておきたい3つの慰謝料の算定基準

慰謝料算出には3つの基準があり、それぞれ性質が異なり、賠償額が多い順は以下の通りです。
「弁護士基準」>「任意保険基準」>「自賠責保険基準」
では、それぞれの内容について説明します。

弁護士基準とは

弁護士基準とは、過去の交通事故裁判の判例を基にして設けられている基準です。計算方法は比較的明快で、法律関係者向けに刊行されている「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」「交通事故損害額算定基準」に記載されています。

被害者に弁護士がついた場合、できるだけ被害者に有利になるように示談や裁判を進めていくことから、3つの基準のうち最も高額な慰謝料となるといわれています。

後遺障害14級の慰謝料の弁護士基準の金額や差額

後遺障害は、14級が最も認定される確率が高い等級です。弁護士基準や自賠責基準・任意保険基準と比較すると3倍前後も高額となります。

基準 金額 弁護士基準との差額
弁護士基準 110万円
自賠責基準 32万円 78万円
任意保険基準 40万円 70万円

※金額はあくまで一例ですので、前後する場合があります。

後遺障害12級の慰謝料の弁護士基準の金額や差額

後遺障害の事案の場合、14級の次に認定率が高いのは12級です。こちらも同じく弁護士基準・自賠責・任意保険と比較すると3倍前後高額となります。

基準 金額 弁護士基準との差額
弁護士基準 290万円
自賠責基準 93万円 197万円
任意保険基準 100万円 190万円

※金額はあくまで一例ですので、前後する場合があります。

弁護士基準で依頼すれば、高額な慰謝料となる一方裁判手続きなどによって長期にわたって交渉しなければならないケースは少なくありません。一定額の保険金を早期に受取りたい場合、以下の自賠責基準や任意保険基準が有効です。

自賠責基準とは

自賠責基準とは、自賠責保険から慰謝料を支払うときに用いられる基準です。自賠責保険は、人身事故を起こしたときに、被害者に対する損害賠償額の必要最低限を補償する目的の保険です。そのため、自賠責基準での慰謝料は最低限しか考慮されず、金額は低めに設定されています。

計算方法として、治療期間又は実通院日数を2倍にしたものと比べて少ない日数が適用されます。法律上自賠責保険基準の慰謝料は1日4,200円と決まっています。

・実通院日数×2
→実際に病院へ行った日数(病院での投薬や経過観察など「病院へ通った日数」が重要となります)
・治療期間
※上記の少ない日数に対して×4,200円を適用します。

[算出例]
○治療期間90日、実通院日数42日の場合
・実通院日数×2→42日×2=84
・治療期間:90日
この場合、「実通院日数の2倍である84日」を採用する為、

84日×4,200円=352,800円となります。

○治療期間90日、実通院日数48日の場合
・実通院日数×2→48日×2=96
・治療期間:90日
この場合、「治療期間の90日」を採用する為、

90日×4,200円=378,000円となります。

自賠責基準は、保険会社が支払う総支払額120万円以上にならない場合にかぎり採用されます。総支払額の内訳及び内容については以下通りです。

総支払額の内訳

治療費

鍼灸・マッサージ費用などについては治療に必要であると意思が認める事+保険会社からの承認を得た場合、含むことができます。また、温泉療養費については医師が療養上の必要性を積極的に指示、医師の指導とともに医療機関付属診療所などで行われた場合に限り認められます。

また以下の要点には十分注意してください。

  • 請求する際は請求書又は領収書が必要
  • 自由診療で必要以上の治療が行われた場合、高額な治療は過剰診療と判断されることがある
    ※自由診療:健康保険を使用せず治療する事
  • 特別室料、差額ベッド料は搬送されたときに普通病室に空きが無かった場合や医師からの指示があったなど特別なケースでない限り原則認められない
付添看護料

年齢やケガの程度によって医師が必要だと判断した場合、請求することができます。ただし、被害者が小学生以下の場合は無条件で認められています。

通院交通費

入院や通院の費用だけでなく、家族(付添者)の通院交通費や看護者の通院交通費も認められます。ただし、以下の要点には注意が必要です。

  • 電車やバスを利用した際は、通院費と運賃を書き留めておく
  • タクシー及び自家用車を利用した際、運賃・ガソリン代の領収書を保管しておく
諸雑費

生活消耗品や新聞などは必要経費として支払われます。金額は日額で低額化されており、領収書は必要ではありません。

  • 日常雑貨品:寝具、パジャマ、洗面具、ちり紙、文房具、食器
  • 栄養補給費:牛乳、お茶、茶菓子
  • 通信費:電話代、電報、郵便代
  • 文化費:新聞、雑貨代、テレビ、ラジオ賃借料
義肢等の装具費用

意思が身体の機能を補完するために必要と認めた義肢、歯科補綴、義眼、眼鏡(コンタクトレンズ含)、補聴器、松葉づえ、車いすなどの費用は傷害事故による損害として請求することができます。
ただし、以下の要点には注意が必要です。

  • 自賠責保険基準では、眼鏡の費用については5万円が限度です
  • 後遺障害により生活上必要となった自動車・家屋の改造・改装費用は自賠責保険基準には明記されていませんが、弁護士会基準では請求できるとされています
休業損害

原則として1日につき5,700円が支払われます。ただし、立証資料(被害者の方が務めている勤務先にて記載・作成してもらう休業損害証明書)などによって損害額がこの金額を超えることが明らかな場合は、19,000円を上限に下記計算式による実費が支払われます。

給与所得者 過去3か月間の1日当たりの平均給与額が基礎となります
計算式:事故前3カ月の収入÷90日×認定休業日数
パート・アルバイト・日雇い労働者 計算式:日給×事故前3か月間の就労日数÷90日×認定休業日数
事業所得者 事故前年の所得税確定申告所得を基準に1日当たりの平均収入を算出
農業・漁業従事者及びその家族従事者の場合
計算式:(過去1年間の収入額-必要経費)×寄与率÷365日×認定休業日数
自由業者の場合
計算式:(過去1年間の収入額-必要経費)÷365日×認定休業日数
家事従事者
(専業主婦や兼業主婦等)
家事ができない場合は収入の減少があったものとみなし、1日当たり5,700円を限度額としています

※認定休業日数の考え方
「休業損害の対象となる日数」は実際に休んだ日を基準とし、ケガの様態や治療日数・業務との関連性など、個別の事情を勘案して治療期間内の範囲内で認めるものとされています。

また、医師から「自宅療養するよう進言があった」場合などは休業損害として認められる可能性は固いですが、被害者自身の自己判断で休業すると日数に含まないケースがあるため注意が必要です。

任意保険基準とは

任意保険基準は、任意の自動車保険による基準です。加害者が任意保険を利用して被害者に慰謝料を支払うとき、その保険会社は任意保険基準により金額を算出するのです。

この基準は保険会社によって異なるため、慰謝料の提示金額もそれぞれ違いが生じますが、下の表を基に症状や程度によって増額・減額されたりなど調整します。
※保険会社と交渉する際は、弁護士基準の慰謝料で請求してください。

休業損害

保険会社が提示してくる金額は、保険金を支払う立場もあり、自賠責保険額よりも少し高い金額が提示される傾向にあります。以下概要です。

仕事をしている人

現実の収入減少額とします。ただし1日当たりの収入が5,700円を下回る場合や立証が難しい場合は5,700円が支給されます。対象日数は実休業日数とし、傷害態様や治療日数などを勘案して治療期間の範囲内で認定されます。

家事従事者(専業主婦や兼業主婦等)

家事に従事できなかった日数に対し、1日当たり5,700円が支払われます。ただし、家庭内の地位や家事労働の実態、傷害態様や地域差などを考慮した際に5,700円を上回る金額が妥当だと判断された場合はその額が採用されます。

仕事をしていない人

休業損害は認められません。
弁護士基準や自賠責基準・任意保険基準の各概要を説明しましたが、冒頭でも記載した通り金額の大きさは以下の通りとなります。

「弁護士基準」>「任意保険基準」>「自賠責保険基準」

保険料請求の際、必要となる領収書や事故資料などを廃棄・紛失するケースは多々あります。

交通事故が起きた際はすぐ弁護士へ相談することが重要ですが、どの領収書・事故資料が必要かを廃棄する前に必ず相談する事が重要です。また、慰謝料をさらに増額させるためには以下の要点を抑えておくことが重要です。

慰謝料が増額されるケースと押さえておきたい2つの項目

交通事故における慰謝料は、人身事故の際に被害者が受ける精神的苦痛の賠償を目的とした損害賠償の一種です。交通事故でケガを負った場合には、痛みや苦痛、治療中の不安などの精神的ダメージを受けることが考えられます。

さらに、後遺症が残ったときに以前のように生活できなくなる苦痛、また死亡したときの被害者及び遺族の苦痛は計り知れないものです。こうした精神的苦痛に対して、加害者が支払うべき賠償金が慰謝料なのです。

加害者の過失の大きさや、事故後の態度の悪さによって精神的苦痛を増大させたと判断される場合、慰謝料が増額するケースがあります。以下はその例です。

慰謝料が増額されるケース

加害者側の過失の大きさ

飲酒運転・スピード違反・居眠り運転・無免許運転・信号無視・わき見運転

事故後の態度の悪さ

不自然・不合理な供述・不自然な態度・証拠隠滅・救護義務違反・ひき逃げ・被害者への責任転嫁

他の損害項目に入らないものを慰謝料で賄おうとする場合

逸失利益に算定しにくい項目を、遺失利益ではなく慰謝料でカバーする

被害者側に特別の事情がある場合

妊婦が胎児を流産又は死産した事故が原因で婚約破棄・離婚したなど

慰謝料の金額について法的な決まりはありませんが、被害者の言い値で決めることもできません。慰謝料は、交通事故におけるさまざまな状況を考慮し、その状況に適した金額が算定されるのです。

結婚が破談となった場合
事故によって後遺障害などが残り、婚約が破談となった場合、事故との因果関係が証明できれば慰謝料増額の対象となります。
妊婦さんが流産した場合
妊婦さんが事故によって流産した場合、この苦しみは深刻なものであることは明らかです。これは傷害慰謝料や後遺症慰謝料でカバーできるものではなく慰謝料を増額するべき事情の対象となり、判例もそのように認めています。
妊婦さんが事故にあった場合
妊婦はレントゲン撮影が禁止されています。判例として事故にあい、レントゲン撮影を受けたことによる中絶、流産となった場合中絶に要した費用や精神的苦痛にたいして慰謝料は増額されます。
加害者に誠意がない場合
加害者が被害者に対して見舞いも謝罪もなく、保険会社任せにして放置してる場合、示談解決を困難にすることが多いです。判例としては加害者が被害者に対し誠意ある対応をしなかったことに対して慰謝料増額の事情となります。

慰謝料の計算において考慮される項目には、以下のようなものがあります。

慰謝料における2つの重要項目

被害者が受けた損害

交通事故で被害者が負ったケガに対して、具体的にかかった治療費とは別に考慮されます。これは、ケガの部位や重傷・軽傷などの度合い、さらに治療にかかった期間や入院の有無など、被害者がどれくらいの苦痛を負ったかを客観的に判断するものです。

過失割合

人身事故は、過失が0:100になるケースだけではなく、被害者にも多少の過失が認められるケースが多いです。状況によって、双方の過失がどれくらいの割合であったかを示すものが過失割合です。
慰謝料の金額は過失割合を基に計算された後、自分の過失分を差し引いた金額を受け取れることになります。

また、加害者の収入が少ない・保険に加入していないなどの場合でも、被害者は加害者に慰謝料を請求する権利があります。また被害者についても、収入や性別などで慰謝料の金額が変わることはなく、受けた精神的苦痛について公平な判断が行われたうえで慰謝料は計算されるのです。

その一方、自分の所有物などが壊れた場合などに対する慰謝料は原則請求出来ません。
例外も含めた事案については次の通りです。

慰謝料における2つの重要項目

人身事故に対して、車や建物などへの損害しか発生していない物損事故では、加害者に慰謝料を請求することはできません。前述のとおり、慰謝料は人体に損害が加わった際の精神的苦痛に対して支払われるものです。
そのため、たとえば車などの物に損害が加わった場合の精神的苦痛については、慰謝料の必要性が認められないのです。

ただし、以下のような場合は例外的に慰謝料の請求が認められたことがあります。

自宅の建物に損害を受けたとき

自宅建物に何らかの損害が加わったときにも、基本的に慰謝料は発生しませんが、たとえば、玄関の破損など生活に大きな支障が発生したと判断された場合、慰謝料請求ができることがあります。

思い入れのある物に損害を受けたとき

たとえば、高級車や希少価値の高い物、思い入れの深い物に対しても、慰謝料という形での賠償請求は困難です。高価な物に損害が及んだときは、慰謝料という形ではなく修理費や全損による買い替え、また時価額などによる損害賠償請求を行うのがいいでしょう。

ただし、墓石や被害者が制作した芸術作品など、より特別な価値を見出せる物に関して、慰謝料請求が認められたケースがあります。

ペットが損害を受けたとき

交通事故において、法的にペットも物と判断されます。そのため、人には損害がなくペットのみ損害を受けた場合は、物損事故とみなされるのです。

したがって、ペットの治療費や死亡の際の葬儀費、そして慰謝料に関しても請求することは難しくなります。しかし、家族同然のペットへの損害は、精神的苦痛が大きいとみなされ、慰謝料請求が成立するケースも増えています。

事故後の精神的苦痛

交通事故などの体験により、精神的に大きな負担を受けることで、心の不調を発症することがあります。一般的に「トラウマ」と呼ばれるもので、代表的な疾患としてPTSD(心的外傷後ストレス障害)があります。PTSDとは、どのような症状なのか、対処方法や治療費の目安などについて解説します。

PTSDの症状

事故のトラウマで苦しむ症状が続く場合は、PTSDを疑いましょう。たとえば、事故の映像がフラッシュバックする、事故があったときと似た状況におかれたときに動機や息苦しさを覚えたりなどです。忘れられがちですが、事故にあったときの恐怖をまざまざと体験するような悪夢を繰り返し見るようになるのも、PTSDの症状の1つといえます。

また、PTSDの症状として「記憶喪失」や「回避行動」が挙げられます。そういった行動をとってしまう理由は、ひとえに自分の心を守るためです。事故を思い起こさせそうな状況や、事故車に似た車両を目にするのを無意識に避けるのは、それに向き合うことで強烈なストレスを生じさせないためといえます。こういった行動はPTSDの症状としては一般的です。

また、PTSDにより引き起こされるのは、交通事故を思い起こさせる要因を避けるという直接的な回避行動だけではありません。心の働きを鈍くして、強いショックを二度と感じなくするための防衛反応として「感情がわからなくなる」「共感能力が低くなる」「人との関わりが下手になる」などがあります。事故後にこれらの変化が生じた場合はPTSDのせいかもしれません。事故のショックで一時的に落ち込んでいるだけだ、などと思いこまず、症状が重くならないうちに専門家に相談するなどしましょう。また、眠れなくなったり、気分の落ち込みが続いたり、という症状が続く場合も放っておいてはいけません。病は気からというように、精神的な不調が身体的不調につながる可能性は十分にありえます。

PTSDの対処方法と治療費の目安

PTSDの症状を軽減し、治療をするためには、精神科や心療内科を受診することがおすすめです。精神科医は心の専門家であり、トラウマや不安などの症状を治療する経験もあるため、自分では言葉にできない苦しさもしっかり読み取ってもらえるでしょう。

また、カウンセリングを進められたり、投薬治療を進められたりと人によって治療法や治療方針は異なります。そのため、治療費が総額でいくらになるかは一概にはいえません。ただし、投薬治療が保険適用外となった場合は1度の処方で数千円以上の費用がかかる可能性があります。

精神的苦痛に対する慰謝料を相手から請求する場合、弁護士へ依頼

人身事故において、慰謝料請求の対象となる精神的苦痛は、交通事故の状況や過失割合、また3つの基準によって公平に算定されるようになっています。

※加害者側の保険会社及び加害者本人と直接示談する場合は、被害者の精神的苦痛の度合いを汲んでもらいにくいケースも存在するのです。このような事態を避けるためには、弁護士に相談して納得できる慰謝料の金額を請求することがおすすめです。