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交通事故後に発生する頭痛の4つの症状事例と慰謝料相場

  • 2019/4/2
  • 2019/09/26

交通事故で体に衝撃を受けたとき、その後に出る症状の1つとして頭痛があげられます。頭痛を引き起こすケースとしては「むちうち」「脳脊髄液減少症」「脳損傷」など様々です。

各ケースの慰謝料相場やそれに関する手続き方法等1~10まで解説します。

慰謝料の3基準と各相場感について

交通事故の慰謝料計算は3つの基準があり、金額もバラバラです。

自賠責基準

これは、自賠責保険から慰謝料などが支払われる際に適用される基準です。自賠責保険は、被害者に最低限の補償を行うことを目的としているため、後遺障害慰謝料も最も低い設定になっています。

★12級の場合は93万円、14級の場合は32万円となっています。

任意保険基準

この基準は、任意保険会社が独自に設定しているものです。平成11年までは統一された基準が設けられていましたが、その基準が廃止されて以降は、それぞれの保険会社が設定した基準で賠償額を算出しているのです。

そのため、はっきりした相場を記載することはできないものの、参考までに廃止前の統一基準による後遺障害慰謝料を見ると、

★12級では100万円、14級では40万円が相場となります。

弁護士基準

弁護士基準とは、日弁連が発行している通称赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準)・青本(交通事故損害額算定基準)に記載される基準で、過去の判例などがもとになっています。3つの基準の中では最も高い賠償額となるのが特徴です。この基準における後遺障害慰謝料の相場は、

★12級ではおよそ290万円、14級ではおよそ110万円となっています。

より高額な慰謝料を請求するためには?
損害賠償額を決定する3つの基準の中では弁護士基準の相場が最も高くなっており、これは後遺障害慰謝料も例に漏れません。後遺障害慰謝料の金額に弁護士基準を適用するには、弁護士に相談することが求められます。

交通事故後の一般的な症状例

まず、交通事故で起こりやすい一般的な症状についてあげていきます。

むちうち

交通事故で症状が残るときに、特に多く見られるものがむちうちです。むちうちとは特定の症状を指す名称ではなく、衝撃を受けたときに首がむちのようにしなって骨や筋肉、神経を損傷したときに起こる症状の総称です。

むちうちは、頭痛や首の痛みのほか、めまいやしびれなどを起こすケースもあります。損傷の部位や程度によって、多種多様な症状を発症するのです。

    <交通事故によるむちうちで頭痛などが起こる主な原因>

  • 脳への血流が悪くなる
  • 首の骨の周りの神経が圧迫される
  • 髄液の減少

テレビのニュースや病院などで、頚椎や頸髄という言葉を聞いたことがあると思います。頚椎や頸髄のことをよく知らなくても、体の重要な部分で、もし傷ついてしまえば大きな障害に結びついてしまうというイメージを抱いているのではないでしょうか。
頚椎とは首の骨のことです。成人の体重のうち頭が10%程度を占めると言われています。高いところから落ちてしまうと頭から落ちるという話を聞いたことがあると思いますが、それだけ頭は重いのです。そして、首は体重の10%を支える体の中でも特に重要な部分です。さらに、首の骨の中には脳から繋がる神経が存在しています。この神経のことを頸髄と言います。

交通事故によって体が衝撃を受けると頭が大きく揺れることになります。頭が揺れると、これを支える首もむちのようにしなってしまいますが、これがむちうちです。むちうちが起こると、首の骨やその中にある神経が圧迫されたり損傷したりということが起こってしまいます。

首の骨が圧迫されて変形してしまうと、脳への血流が悪くなってしまいます。脳への血流が悪くなれば、頭痛やめまい、しびれを引き起こすことになるでしょう。

また、変形した首の骨がその中にある神経を圧迫することも起こります。神経が圧迫されれば、やはり、頭痛やめまい、しびれが起こるのです。
むちうちによって頭部が強い衝撃を受けると、髄液が漏れ出して、これが頭痛につながることもあります。髄液の減少についてはこれから詳しく説明します。

脳脊髄液減少症

交通事故で強い衝撃を頭部に受けたために脳を保護している髄液が漏れ脳に圧力がかかり、様々な症状を引き起こす状態を指します。

人間の体の中には、体を支えるいわゆる背骨が存在していますが、これを脊椎と言います。先程説明した頚椎というのは、背骨の中の首の部分だけを取り出した呼び方です。脊椎の中には脊髄という神経が存在しており、首の部分に限って話をすると頚椎の中に頸髄という神経が存在するということになります。

脊椎の中にある脊髄ですが、脊髄を直接脊椎が取り囲んでいるわけではありません。脊椎の中は髄液という液体で満たされており、髄液に囲まれた形で脊髄が存在しています。髄液は脳の中で作られて、頭蓋骨と脊椎の中を脳と脊髄を守るように満たします。イメージとしては、脳や神経といった重要な部分は、骨の中で髄液に浮かんでいて、髄液がショックを吸収してくれるというものです。

ところが、頭部に強い衝撃を受けてしまうと、髄液が漏れ出してしまうことがあります。髄液が漏れ出してしまうと脳にかかる圧力が変化するので、頭痛、めまい、耳鳴り、倦怠感など、様々な症状が起こりますが、これが脳脊髄液減少症です。

【請求できる慰謝料】

等級 12級13号 14級9号
自賠責基準 93万円 32万円
弁護士基準 290万円 110万円
等級 9級10号 12級13号 14級9号
自賠責基準 245万円 93万円 32万円
弁護士基準 690万円 290万円 110万円

頭部への衝撃

交通事故による衝撃が大きいと、頭部に外傷を負うことも珍しくありません。頭部に衝撃を受けた場合、脳震盪や脳挫傷、脳出血などを引き起こす可能性があります。これらの場合には、いずれも頭痛や吐き気といった症状が見られ、脳の損傷具合によっては意識障害や言語障害などの重篤な後遺障害を伴うこともあります。

脳震盪後症候群

一過性にしか過ぎない脳震盪の症状が残る病気です。症状が続くことで抑うつや不安に苛まれるのも後遺症の一つです。後遺障害等級が認定されれば以下の金額を貰う事が出来ます。

【請求できる慰謝料】

等級 9級10号 12級13号 14級9号
自賠責基準 245万円 93万円 32万円
弁護士基準 690万円 290万円 110万円

上記以外にも脳挫傷や脳出血などの症状を引き起こします。慰謝料請求の際、必ず診断書が必要となるため自覚症状の有無に関わらず、病院へ行くことを推奨します。

その際には、できるだけ大きな病院に行くことが望ましいでしょう。何科に診てもらうとよいのかは、症状によって様々なのですが、まずは整形外科で画像検査を受けて、骨や筋肉、神経の異常の有無を確認することが一般的です。しかし、画像検査だけでは頭痛などの自覚症状の原因を特定できない場合があります。その場合には、神経内科や脳神経外科を受診して、原因を特定することになります。

頭痛などの原因を特定できなければ適切な治療が受けられないだけではありません。きちんと原因を特定し、その原因が事故によって生じたことを証明できるようにしておかなければ、請求できる慰謝料の金額も大きく変化してしまいます。頭痛の原因が事故によって生じたことを証明して慰謝料の金額を大きく増額できた裁判例として、広島地方裁判所福山支部による平成30年6月21日判決があります。

この裁判例では、被害者には脳脊髄液減少症による頭痛が生じていました。しかし、当初は、交通事故によって脳脊髄液減少症が生じたとは認められずに、後遺障害等級は認められませんでした。異議申立によっても14級9号しか認められず、弁護士基準でも後遺障害慰謝料は110万円になるところでした。しかし、裁判所によって脳脊髄液減少症が交通事故によって生じたことが認定された結果、9級10号に該当するとして、後遺障害慰謝料は690万円にまで増額されたのです。事故によって頭痛の原因が生じたことを証明できたことで、580万円の慰謝料増額を勝ち取れた計算になります。

後遺障害等級申請に必要な11つの書類と申請期間や落ちた場合の対処法

上記にも記載している通り、後遺障害等級によって金額が大きく異なるため、被害者の方にとっては非常に重要な項目です。申請するには様々な書類が必要となりますが、そもそも申請方法には事前認定・被害者請求と呼ばれる2つの方法があります。

事前認定とは

医師によって作成された「後遺障害診断書」を加害者側の任意保険会社へ送れば、被害者側は後述記載している書類集めを行う必要はありません。ただし、書類不備(任意保険会社サイド)によって認定されないケースが発生する可能性があります。

※自ら書類を集め加害者側の自賠責保険会社に直接請求する方法です。この方法は時間が非常にかかる一方、書類不備などが起こる心配はありません。

必要書類は以下の11つとなります。

必要書類 入手先
自賠責保険金請求書 自賠責保険会社からフォーマットを貰う
交通事故証明書 自動車安全運転センター
事故発生状況報告書 書式を任意又は自賠責保険会社から貰う
診断書 任意保険会社又は通院先の病院
診療報酬明細書 任意保険会社又は健康保険組合
通院交通費明細書 自分で記入。ただし領収書必須
付添看護自認書 保険会社からフォーマットを貰い、家族が記入
休業損害証明書 保険会社からフォーマットを貰い、勤務先が記入
印鑑証明書 市区町村
後遺障害診断書 通院先の病院

後遺障害の申請可能期間と申請までの期間

後遺障害申請は事故後直ぐに行っても認定されるケースは少ないでしょう。その理由として、将来的に回復の見込みがあるか無いか(症状固定)という点が認定するか否かにおいて非常に重要な要素になります。症状固定は、事故後6カ月程度経過した後医師によって判断されます。

また、後遺障害の申請は自賠責保険会社に対する保険金請求の一環として行います。そのため、保険金の支払時効の期間内に行わなければ請求無効となるケースもあるため注意が必要です。
以下保険金請求の時効です。

被害者請求の場合 加害者請求の場合
傷病の場合 事故日から3年以内 加害者が被害者・病院などに賠償金を支払ったときから3年以内
後遺障害を負った場合 症状固定日から3年以内
死亡の場合 死亡日から3年以内

後遺障害認定が下りなかった場合

後遺障害認定が下りなかった場合、異議申し立てを自賠責保険会社に行うことが可能です。ただし、新たな証拠がない限り原則後遺障害認定結果が変わることはありません。

慰謝料請求は必ず弁護士へ依頼した方がお得な理由

頭痛によって引き起こされる症状によって後遺障害認定が下りるかどうか判断されますが、後遺障害等級に関わらず、弁護士へ依頼するのがベストであるというのが当サイトの見解です。
その理由として以下の二つが挙げられます。

  • 必要書類かどうかの判断や疑問・不安に対し、明確かつ納得できる回答をしてくれる
  • 3つの慰謝料基準の中で最も高額な基準が”弁護士基準”である

ただし、交通事故案件を扱ったことがない弁護士事務所に依頼したところで、慰謝料が獲得できるかどうか不透明なため、交通事故案件に精通している弁護士事務所を選ぶことが大切です。