自動車同士の交通事故の過失割合その7
- 2020/3/4
- 2022/01/11
同一方向に進行する自動車同士の事故
同一方向に進行する自動車同士の事故が起きた場合、詳しい状況によって過失割合は変化します。ここでは、追い越しや進路変更の際の衝突や、後続車の追突などの過失割合について解説します。
追い越し禁止場所で追い越して衝突
追い越し禁止場所で追い越しをして衝突した場合、基本の過失割合は直進車Aが10%、追い越し車Bが90%です。
追い越し禁止場所とは、道路標識によって追い越し禁止と指定されている場所をさします。Bに大きな過失割合が認められているのは、Aが中央線を越えているかどうかに関わらず、追い越しをしようとしたBに責任があると判断できるためです。
次に該当する場合、直進車Aの過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません
・Aに避譲義務違反があった場合、10%程度の加算
・Aに道路交通法27条1項違反(下記参照)があった場合、20%程度の加算
・Aに著しい過失があった場合、10%程度の加算
・Aに重過失があった場合、20%程度の加算
・Bに著しい過失があった場合、10%程度の減算
・Bに重過失があった場合、20%程度の減算
道路交通法27条1項では、直進車の注意義務について定めています。そのため、AがBの存在に気付いていたにもかかわらず減速などを行っていなかった場合、Aの過失割合が加算修正されます。
追い越し可能場所で追い越して衝突
追い越し可能場所で追い越しをして衝突した場合、基本の過失割合は直進車Aが20%、追い越し車Bが80%です。
追い越しが可能な場所で追い越しをしているため、追い越しが禁止されている場所で追い越しをした場合と比較すると、Bの過失割合が少なくなっています。とはいえ、そもそも追い越し行為は推奨されているわけではなく、確実に安全だと判断できるときに例外的に認められるものです。よって、事故の根本的な原因がBにあることは変わりないため、Bに大きな過失割合が認められています。
ただし、以下のケースでは過失割合にさらに修正が加えられることもあります。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません
・Aに避譲義務違反があった場合、10%程度の加算
・Aに道路交通法27条1項違反があった場合、20%程度の加算
・Aに著しい過失があった場合、10%程度の加算
・Aに重過失があった場合、20%程度の加算
・事故現場が追い越し危険場所であった場合、5%程度の減算
・Bに著しい過失があった場合、10%程度の減算
・Bに重過失があった場合、20%程度の減算
進路変更車と後続車が衝突
進路変更をしようとした車両と後ろから来た車両が衝突した場合、基本の過失割合は後続直進車Aが30%、進路変更車Bが70%です。
基本の過失割合では、Bが適切に進路変更の合図を出しており、Aに軽度の前方不注意があったことを想定しています。この過失割合は、左右のどちらから進路変更をするケースに対しても適用可能です。
ただし、以下に該当する場合、過失割合が修正されることがあります。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません
・Aがゼブラゾーンを進行していた場合、10~20%程度の加算
・Aに15㎞以上の速度違反があった場合、10%程度の加算
・Aに30㎞以上の速度違反があった場合、20%程度の加算
・Aにその他の著しい過失があった場合、10%程度の加算
・Aにその他の重過失があった場合、20%程度の加算
・事故現場が進路変更禁止場所であった場合、20%程度の減算
・Bが合図をしていなかった場合、20%程度の減算
・Bに初心者マークなどがあった場合、10%程度の減算
・Bにその他の著しい過失があった場合、10%程度の減算
・Bに重過失があった場合、20%程度の減算
後続車が追突して衝突
車両が同方向に進行しており、後ろから来た車が前方の車両に衝突した場合、基本の過失割合は追突後続車Aが70%、前方直進車Bが30%です。
原則として、追突事故が起きたときは、追突した後続車両が過失割合を100%負担することになっています。ただし、前方を走行している車両が急ブレーキをかけたケースについては、30%の過失割合を負担します。加えて、以下に該当する場合はさらに過失割合が修正されることがあるので注意が必要です。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません
・事故現場が住宅街や商店街などだった場合、10%程度の加算
・Aに15㎞以上の速度違反があった場合、10%程度の加算
・Aに30㎞以上の速度違反があった場合、20%程度の加算
・Aにその他の著しい過失があった場合、10%程度の加算
・Aにその他の重過失があった場合、20%程度の加算
・Bが幹線道路の歩行車線上に停止をした場合、10%程度の減算
・Bの制動灯が故障していた場合、10~20%程度の減算
・Bに著しい過失があった場合、10%程度の減算
・Bに重過失があった場合、20%程度の減算