交通事故加害者が絶対にやってはいけない4つの対応
- 2019/4/22
- 2022/01/11
もし自分が交通事故の加害者になってしまったら、どうしたら良いか分からずパニックになってしまうことも。
しかし、そういう時こそ気持ちを落ち着かせ、適切な対応をしなければなりません。
今回は、交通事故の加害者となってしまったときに必ず対応すべきことを解説していきます。
Contents
加害者側が事故直後に必ずやるべき3つの対応
交通事故を起こしてしまったら、以下のような対応をしましょう。
- 負傷者の救護
- 危険防止措置
- 警察への連絡
まずは事故現場にけが人がいないか確認しましょう。もしも怪我をしている人がいたら、速やかに応急処置をします。救急車が必要な状態であれば、すぐに救急車を呼びましょう。けが人の救護は交通事故加害者の法的な責任であり、救護しないで立ち去ると道路交通法違反となって重い罰則が適用されます。
交通事故現場では、二次被害が発生しないように危険防止措置をとる必要があります。車を脇に寄せてから路上に散乱しているものを片付け、発煙筒を炊いて後続車に事故を知らせるなどしましょう。
交通事故当事者は、必ず警察に事故発生を報告しなければなりません。110番で警察を呼び、到着したら事故現場の場所や時刻、状況など詳しく説明しましょう。
その後、被害者と連絡先を交換したり事故車両の撮影などをして、事故の証拠を残します。実況見分が終わったら、速やかに保険会社へ連絡を入れましょう。加害者であっても怪我をすることはあるため、一度病院にも行っておくことをお勧めします。
加害者側の民事・行政・刑事の責任とは
交通事故の加害者にはどのような責任が発生するのでしょうか?以下でみていきましょう。
民事責任
民事責任とは、加害者が被害者に損害賠償金を支払わねばならない責任です。交通事故の被害者には、治療費や休業損害、交通費や慰謝料などいろいろな損害が発生します。こうした損害は、加害者が交通事故を起こさなければ発生しなかったものです。そこで加害者は被害者に対し、不法行為にもとづく損害賠償を行います。示談や訴訟によって、支払金額や支払方法を決定します。
刑事責任
刑事責任とは、道路交通法違反や自動車運転処罰法違反などの「罰則」を適用される責任です。人身事故を起こしたら加害者は「自動車運転処罰法」違反となり、懲役刑や罰金刑を科される可能性が高くなります。ひき逃げや警察への報告義務違反などをすると、道路交通法違反の罪も成立します。
※交通事故(特に人身事故)を起こすと検察官によって起訴され裁判となり、処罰される可能性が高まります。
行政上の責任
行政上の責任とは、加害者の運転免許についての処分です。日本の運転免許制度は「加点式の点数制度」となっており、交通違反や交通事故を起こすと点数が加算されます。一定の点数になると、免許を停止されたり取り消されたりします。
★交通事故の中でも人身事故を起こした場合、被害者の死傷結果や加害者の過失の程度により、加害者の免許の点数が加算されます。重大な事故を起こした場合には、一回の交通事故で免許取消になるケースもあります。
加害者が絶対にやってはいけない4つの対応
交通事故を起こした加害者が絶対にやってはいけないことがあります。それは以下のような行為です。
- 救護せずに逃げる
- 警察を呼ばない
- その場で示談する
- よくわからない書面にサインする
人身事故を起こしてしまった加害者にありがちですが、事故を起こして逃げることは絶対に許されません。被害者が怪我をしているのに救護せずその場を離れると、道路交通法上の救護義務違反となります。いわゆるひき逃げの罪です。この場合、10年以下の懲役または100万円以下の罰金刑という非常に重い刑罰を科されることになります。
次に、警察を呼ばないのもNGです。事故を起こした当事者が警察に報告するのは、道路交通法による義務だからです。報告義務違反に対しては、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金刑が科されます。
交通事故現場で被害者と示談してしまうのもNGです。そのようなことをすると、後になって被害者から「あのときは気づかなかった後遺症が発生した」などと言われ、追加請求される可能性があります。また、自動車保険を利用できなくなって自腹で支払わなければならないリスクも高まります。
交通事故現場では、被害者から「自認書」「念書」などへのサインを求められるケースもあります。しかし、内容がよくわからない書面にサインをしてはなりません。たとえば過失割合や賠償金額について認める書面にサインをしてしまった場合、後で示談をするときに大きな不利益を受ける恐れがあります。示談関係は全て後にし、保険会社に任せるべきです。
交通事故後の加害者の人生への影響
もしも交通事故の加害者となってしまったら、その後の人生にどういった影響が及ぶのでしょうか?
一生消えない前科がつく
人身事故を起こして過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪などで起訴され、刑罰を受けると「前科」がつきます。交通事故で罰金刑になっただけでも前科はつきますし、一度ついた前科は一生消えません。日常生活で前科を人に知られることはありませんが、
何かあったときには問題になりますし一生抱えて生きていかねばなりません。
道義的責任
交通事故を起こして被害者に重大な後遺障害を残したり死亡させてしまったら、一生背負わねばならない道義的責任を負います。
たとえば被害者が植物状態になったり死亡してしまったり全身麻痺になってしまったりしたら、どれだけ謝罪しても賠償金を払っても刑罰を受けても、取り返しがつきません。交通事故を起こすということは、それだけの責任を負うと理解しておく必要があります。
被害者との示談交渉などは全て弁護士に任せるべき理由
交通事故の加害者になったとき、弁護士に相談するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
被害者との示談交渉を任せられる
交通事故を起こしたら被害者と示談交渉を進めますが、加害者の立場では示談と「刑事事件」との関係が重要です。刑事事件では、被害者と示談が成立すると加害者にとって非常に有利になるからです。そこで起訴決定や判決が出る前に、早めに示談しなければなりません。弁護士に依頼したら早急に被害者に連絡を入れてもらい、示談を成立させることで、処分を軽くしてもらえる可能性が高まります。
刑事事件の弁護活動をしてもらえる
交通事故の加害者となった場合、刑事事件で逮捕されたり起訴されたりすることがあります。いったん起訴されると有罪になる可能性が99.9%以上になるので、前科を避けるには起訴前の早い段階で対応が必要です。弁護人についてもらい、有効な弁護活動を展開してもらえたなら、不起訴処分を獲得できて前科を避けやすくなります。
相手に対する賠償金請求も依頼できる
交通事故では加害者が怪我をすることもありますし、被害者に過失割合があるケースも多々あります。そういった場合には相手の過失割合の分、賠償請求できます。自分一人で示談交渉をするよりも、弁護士に代理で交渉してもらった方が慰謝料なども増額されて負担が軽減します。
クレーマー対応も可能
交通事故の加害者となったとき、相手がまっとうな人とは限りません。わざと車にぶつかって怪我をして、賠償金をもらおうとする保険金詐欺の事例もあります。被害者がクレーマーだった場合には、保険会社が代理で示談交渉をしようとしても、しつこく加害者本人に連絡をしてきて困ってしまうケースもみられます。
そのようなときには、弁護士に対応を任せると不当要求を排斥できます。相手がしつこい場合には、内容証明郵便で警告したり裁判所で仮処分を行ったりして、相手を退けることが可能です。
※交通事故で加害者となったときは、被害者になったケースと同じように慎重な対応が必要になります。お困りの場合、お早めに弁護士に相談してください。