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交通事故後の痛みの代表例「むちうち症」の5つの特徴と慰謝料の相場観

  • 2019/4/19
  • 2019/09/05

交通事故の痛みは、様々な後遺症状につながってしまいます。それは医師が写真で確認できるようなものばかりでなく、自覚症状しかないこともあります。その痛みが一生継続する場合は、後遺障害として認定してもらわなければいけません。後遺障害認定は一度受けると覆ることはほぼないため、慎重に行いましょう。

この記事では、各部位の痛みから、慰謝料の獲得までを解説します。

部位別の痛みと被害者を多く悩ませるむちうち症の特徴

交通事故による痛みは、どのような後遺症状につながるのでしょうか。

頭を負傷した場合

交通事故に遭い負傷した際、もっとも多いのが首や頭を負傷するケースです。その場合の負傷後の症状として、「脳損傷」や「首周りの神経圧迫」など様々ですが、その中でも被害者を多く悩ませるのが「むちうち症」です。

※むちうち症は交通事故後すぐに発症するケースもあれば、事故後数日経過した後発症するケースもあります。「事故後、外傷がない為病院へ行かなかった」場合、事故から経過した時間が遅いほど事故との因果関係が認められず、慰謝料などを加害者へ請求できなくなる可能性もあります。
また、後遺障害認定を受ける際は因果関係が重要となるため、本来受けるはずだった慰謝料が貰えないというケースも発生します。

むちうちは骨だけでなく、神経や血管が原因となり、発症することもあります。その場合はMRIなど画像として確認できないため、きちんと医師に症状を話すことが重要です。
そのため、交通事故後は直ぐに病院へ行くことが大切です。また、むちうち症はいくつかに分類されます。

頸椎捻挫型

頸椎周辺の靭帯や筋肉を損傷した場合、首の後ろや肩に痛みが現れます。また、首を伸ばすと痛みが増す場合が多く、首・肩の動作が制限されるケースが多々あります。

根症状型

頸椎の骨がずれることによって神経が圧迫され、首や顔・腕に痛みや痺れが現れます。特に後頭部の痛みを訴える人に見られる場合に当てはまります。

バレー・ルー(リュー)症候群

頸椎周りの動脈の血流が悪くなっている場合に該当します。症例として頭痛やめまい、耳鳴りや吐き気がある際は当項目が当てはまります。

脳髄液減少症

髄液の現象によって頭痛が起こりますが、症例がバレー・ルー症候群などと酷似している事から直ぐに見分けることは出来ません。また、頭痛以外にもめまいやふらつき、耳鳴りや吐き気などが現れます。

脊髄症状型

脊髄にダメージがある場合、脚へとつながっている神経が損傷している事が多々あります。そのため、脚の痺れや感覚異常を訴えるケースが多いですが、頭痛が現れないケースもあります。

手・足・関節を負傷した場合

体の各部に受傷した場合、その症状が将来にわたって継続するならば、後遺障害となります。

疼痛(とうつう)

 
神経が受傷して、痛みが継続する場合、疼痛として後遺障害になります。器質的損傷が画像で確認でき、受傷部位にほぼ常時疼痛を残すものが対象です。
また、痛みだけでなく、以下の障害が残ってしまった場合も後遺障害の対象です。

  • 運動障害(関節の可動域が半分以下に制限されてしまった場合)
  • 変形障害(目に見える形で骨が変形し、そのまま固まってしまった場合)
  • 欠損障害(指を失うなど、欠損してしまった場合)
  • 短縮障害(事故により、足を短くしなければいけない場合)

体の部位は、医師が治癒の見込みがないと判断されるまで、時間が必要です。最低でも半年はかかるでしょう。

目・鼻・耳・口負傷した場合

目・鼻・耳・口などの感覚器の機能障害は、後遺障害に認定されます。痛みだけでなく、視力を失う、嗅覚聴覚の麻痺、咀嚼障害など、事故との因果関係が認められれば、上位の後遺障害等級となります。外部からの診断では判明しづらいこともありますので、きちんと医師に相談することが大切です。

医師に痛みを伝えることが大切

交通事故の後遺障害では、医師に事故との因果関係を証明してもらわなければいけません。そのためには、事故後通院を継続し、医師の医学的診断を受ける必要があります。

各症状に悩まされた際に治療する方法

各部位の痛みに悩まされている場合、直ぐに病院へ行くことが大切です。しかし「何科を受診すればいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。
その場合、ポイントとして以下2つが大切です。

  • まずは総合病院へ受診する
  • 総合病院が近くにない場合、整形外科を受診する
  • (頭を強く打った自覚がある場合、脳神経外科を受診する)

事故後総合病院へ行くメリット

総合病院へ行くメリットとして、設備が充実しており必要な検査を受けれます。また、保険会社と連携している病院が多く、治療費を窓口負担しなくていいケースもあるため、行く前に電話にて受診可能かどうか確認することをおススメします。
また、総合病院が近くにない場合、整形外科又は脳神経外科を受診してください。

事故後治療初めに整体院・整骨院・接骨院に行ってはいけない理由

整骨院や接骨院は国家資格を持っている医師ではありません。
そのため、適切な治療を受けることができず後遺障害診断書の作成が出来ません。その結果、後遺障害等級認定を受けれないケースがあります。

痛みが継続的に続いた場合、症状固定と判断され後遺障害等級認定を受ける必要があります。

※後遺障害認定について詳しくはコチラをご覧ください

後遺症状と後遺障害等級の結びつき

後遺障害等級は1級から14級まで分けられており、最も重いのが1級です。1級は両目が失明した場合など、生活が困難になる重度の等級で、14級は局部に神経症状が残るなどの症状が残っている状態です。

むちうち症の後遺障害等級

冒頭紹介した首や頭の痛みに悩まされる多くは「むちうち症」ですが、後遺障害等級は14級です。しかも、「非該当」として後遺認定障害されないケースも数多くあります。その理由として自覚症状を画像で確認できないことがあげられます。

画像で確認できず、医学的に証明されないものであっても、受傷時の態様や治療の経過からその訴えが一応説明つくものであり、賠償性神経症や故意に誇張された訴えではないと判断されるものが14級の「神経症状が残るもの」の基準となります。つまり、「患者が嘘を言っているのではない」と医師が判断することがポイントです。

この背景には、むちうち症を語る保険金詐欺を警戒している現状があります。そのため、事故後はすぐに病院で診察を受け、むちうち症と事故の因果関係を説明する必要があるのです。また、明らかにむちうちの原因である部位が確認可能で、「頑固な神経症状」が続いた場合は、12級に認定されるケースもあります。

むちうちの場合の慰謝料の金額と請求方法

慰謝料を請求する方法として、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあります。
以下表がそれぞれの金額です。

後遺障害等級 自賠責基準 任意保険基準(目安) 弁護士基準
第12級 93万円 150万円 290万円
第14級 32万円 45万円 110万円

※各等級の概要を知りたい方は等級部分をクリックしてください。

手・足・関節の後遺障害等級

手・足・関節の運動障害、痛みによる後遺障害認定の基準は以下の2点です。

  • 12級
  • (通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがある)

  • 14級
  • (通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残す)

「受傷部位」とは、器質的損傷が画像で確認できることを指し、レントゲンなどで医師が視覚的に確認できることが条件です。

目・鼻・耳・口の後遺障害等級

目・鼻・耳・口が痛み、機能を欠損した場合、事故との因果関係が証明されれば後遺障害となり、その等級は様々です。片目を失明したのであれば8級となりますし、鼻が欠損したのであれば9級と認定されます。

目・鼻・耳・口の後遺障害等級慰謝料の金額と請求方法

慰謝料を請求する方法として、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあります。
以下表がそれぞれの金額です。

後遺障害等級 自賠責基準 任意保険基準(目安) 弁護士基準
第8級 324万円 350万円 690万円
第9級 245万円 250万円 550万円

※各等級の概要を知りたい方は等級部分をクリックしてください。

併合認定について

事故による後遺障害は1箇所だけとは限りません。2つ以上の後遺障害がある場合、適切な補償を受けるために繰り上げられることがあります。これを「併合認定」といいます。例えば、9級の後遺障害と、12級の後遺障害を併発した場合は、重い方の9級の障害認定が8級に繰り上げられます。

併合認定のルールは複雑で、併合認定されないケースもあります。複数の後遺認定障害を受けた場合は、専門家に任せたほうが賢明といえます。

痛みがあるなら症状固定を行ってはいけない

後遺認定障害は、医師による症状固定の診断からスタートします。受傷した部位がこれ以上の回復を望めないという医学的な判断であるため時間がかかります。症状固定までの期間は、通院や治療をしなければならないため、加害者側に損害賠償として請求できます。しかし、症状固定をしてしまうと、それ以後は後遺障害としての補償しかありません。

保険会社は被害者に早期の症状固定を促すのが通常です。早く症状固定が済めば、それ以降は治療費を支払わなくて済むからです。そのため、痛みがあるうちは症状固定を行ってはいけません。担当医師による正確な診断ができるまで、じっくりと体を治すことに集中しましょう。

また、手間がかかりますが、後遺障害の認定申請は、必ず自分で行う「被害者申請」をするようにしましょう。

保険会社に任せてしまうことも可能ですが(事前認定といいます)その場合、どうしても書類の作成がおざなりになってしまう場合があります。一度後遺障害の認定が降りてしまうと、それが不服でも従わなければいけません。そのため、症状固定をする前から弁護士の力を借り、正しい後遺障害の申請を行うことが大切です。

事故から慰謝料獲得までの流れ

事故から慰謝料獲得までの流れは、以下のようになります。