交通事故の慰謝料「弁護士基準」が最もお得な理由!?
- 2019/4/8
- 2019/09/05
交通事故で加害者に慰謝料を請求するとき、複数の「計算基準」があることをご存知ですか?
実は「弁護士基準」「裁判基準」で計算すると、他の基準よりも慰謝料が大幅に高額になります。
今回は「弁護士基準」「裁判基準」とは何か、また弁護士基準や裁判基準で慰謝料を計算する方法についてご紹介します。
Contents
各慰謝料の弁護士基準表
弁護士基準とは、弁護士が保険会社と示談交渉をするときに使う慰謝料計算基準です。
一方で裁判基準とは、裁判所が交通事故の損害賠償金を計算するときの基準を指します。
弁護士基準と裁判基準は、呼び名は違いますが同じものです。これらの法的な基準に対し、被害者が自分で示談交渉をするときには任意保険会社が定める「任意保険基準」が適用されます。
では弁護士基準で慰謝料を計算すると、具体的にどのくらいの金額になるのでしょうか?
交通事故の慰謝料には「入通院慰謝料」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3種類があります。
以下ではそれぞれの慰謝料を弁護士基準で計算するとどのくらいになるのか、表とあわせて解説します。
入通院慰謝料
弁護士基準の入通院慰謝料は、打撲や自覚症状しかない軽傷やむちうちの場合と、それら以外の通常程度以上のケガの場合とで計算基準が異なります。
なお「自覚症状」とは、痛みやしびれなど被害者自身が感じる症状です。MRIなどの画像診断によって他覚所見がなかった場合、「自覚症状しかないむちうち」となります。
打撲や軽いむちうちの場合に適用される基準は、以下の通りです。(単位:万円)
入院 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | |
通院 | 35 | 66 | 92 | 116 | 135 | |
1ヶ月 | 19 | 52 | 83 | 106 | 128 | 145 |
2ヶ月 | 36 | 69 | 97 | 118 | 138 | 153 |
3ヶ月 | 53 | 83 | 109 | 128 | 146 | 159 |
4ヶ月 | 67 | 955 | 119 | 136 | 152 | 165 |
5ヶ月 | 79 | 105 | 127 | 142 | 158 | 169 |
通常程度のケガの場合には、以下の通り入通院慰謝料が増額されます。(単位:万円)
入院 | 1ヶ月 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | |
通院 | 53 | 101 | 145 | 184 | 217 | |
1ヶ月 | 28 | 77 | 122 | 162 | 199 | 228 |
2ヶ月 | 52 | 98 | 139 | 177 | 210 | 236 |
3ヶ月 | 73 | 115 | 154 | 188 | 218 | 244 |
4ヶ月 | 90 | 130 | 165 | 196 | 226 | 251 |
5ヶ月 | 105 | 141 | 173 | 204 | 233 | 257 |
※どちらのケースでも、通院期間より入院期間の方が、慰謝料は高額になります。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故が原因で後遺症が残り、後遺障害認定を受けたときに支払われる慰謝料です。
1~14級の等級ごとに慰謝料額の基準額が設定されています。金額は以下の通りです。
第1級 | 第2級 | 第3級 |
---|---|---|
2800万円 | 2370万円 | 1990万円 |
第4級 | 第5級 | 第6級 |
1670万円 | 1400万円 | 1180万円 |
第7級 | 第8級 | 第9級 |
1000万円 | 830万円 | 690万円 |
第10級 | 第11級 | 第12級 |
550万円 | 420万円 | 290万円 |
第13級 | 第14級 | 非該当 |
180万円 | 110万円 | 0円 |
※該当等級をクリックすると各ページへ移動します
死亡慰謝料
死亡慰謝料とは、被害者が交通事故で死亡したときに支払われる慰謝料です。弁護士基準による死亡慰謝料の金額の相場は、以下の通りです。
- 一家の支柱のケース:2,800万円
- 母親、配偶者のケース:2,500万円
- その他のケース:2,000万円~2,500万円
2.入通院慰謝料を弁護士基準で請求するには
むちうちや骨折をした場合などでなるべく高額な慰謝料を請求するには、弁護士基準で計算する必要があります。
しかし被害者が自分で任意保険会社と示談交渉をすると、低額な任意保険基準が適用され、慰謝料の金額を減額されてしまいます。
※弁護士基準で慰謝料を請求するためには、弁護士に示談交渉を依頼する方法があります。そのためには、まずは依頼したい弁護士を探して相談をし交通事故の詳細を伝えて示談交渉を任せましょう。
もしくは自分で保険会社に裁判を起こせば、裁判所が裁判基準(弁護士基準と同様)を適用して慰謝料を計算してくれます。
しかし自分で裁判を起こすのは大変なので、まずは弁護士に示談交渉を依頼する方法がおすすめです。
任意保険と弁護士基準どちらがお得!?
任意保険と弁護士基準、実際にどのくらい違うのでしょうか?後遺障害の等級ごとに任意保険基準と弁護士基準との慰謝料の差額は下記の通りです。
等級 | 任意保険基準と弁護士会基準の差額 |
---|---|
第1級 | 1500万円 |
第2級 | 1250万円 |
第3級 | 1040万円 |
第4級 | 870万円 |
第5級 | 700万円 |
第6級 | 580万円 |
第7級 | 500万円 |
第8級 | 430万円 |
第9級 | 390万円 |
第10級 | 350万円 |
第11級 | 270万円 |
第12級 | 190万円 |
第13級 | 120万円 |
第14級 | 70万円 |
※該当等級をクリックすると各ページへ移動します
入通院慰謝料の場合
入通院慰謝料の場合、弁護士基準で計算すると任意保険基準の1.5~1.9倍程度になります。
-
<例>
- むちうちで5ヶ月通院した場合
- 骨折で5ヶ月通院した場合
・弁護士基準なら79万円
・任意保険基準なら56万円
・弁護士基準なら105万円
・任意保険基準なら56万円
後遺障害慰謝料の場合
後遺障害慰謝料の場合、弁護士基準を適用すると任意保険基準の2~3倍程度となります。
-
<例>
- むちうちで14級になった場合
・弁護士基準なら110万円
・任意保険基準なら40万円
死亡慰謝料の場合
死亡慰謝料についても、弁護士基準を適用すると大幅に増額されます。
同じように被害者が死亡した事案でも、弁護士基準を適用するだけで慰謝料が1,000万円以上増額されるケースも珍しくありません。
後遺障害や死亡事故の場合、最大どのくらい貰える
交通事故で被害者に後遺障害が残ったケースや、不幸にも死亡してしまったケースにおいて、弁護士基準で計算すると最大でどのくらい慰謝料が支払われるのかみてみましょう。
後遺障害が残った場合
被害者に何らかの後遺症が残った場合、自賠責で後遺障害認定を行い、後遺障害の等級を認定してもらえます。
後遺障害の認定等級には1~14級があり、それぞれの等級に応じた慰謝料が支払われます。
交通事故に遭うと、被害者が大けがをして後遺症が残ってしまうケースも多々あります。
- 失明した場合
- 手足が不自由になった場合
- 脳に障害が残り一生介護が必要になった場合
などさまざまです。むちうちのケースであっても、後遺障害認定される可能性があります。
また被害者の離婚・結婚の破談・退職・自営業の廃業、そのほか流産・中絶・死産など、
通常より大きな精神的苦痛を受けた場合には、慰謝料が通常の基準より増額されるケースもあります。
外貌醜状などの後遺障害で「労働能力が低下していない」とされて逸失利益が否定されたケースでも、代わりに慰謝料を増額してもらえるケースが多々あります。
増額幅は認定された等級や個々のケースによって異なるため、はっきり「〇〇円」とは言えませんが、数百万円程度上がることもあります。
たとえば被害者が後遺障害1級になった場合標準額は2,800万円ですが、3,000万円を超える金額が認定されるケースもみられます。
慰謝料の場合
死亡慰謝料も、それぞれのケースで個々の状況に応じ、増額される可能性があります。
-
<例>
- 加害者が悪質で反省していない場合
- 死亡した場合
被害者の精神的苦痛が特に大きいと認められる場合などには、通常の基準より慰謝料が上がります。
基本的に死亡した本人が受けた精神的苦痛に対する慰謝料ですが、それ以外に親や配偶者、内縁の配偶者、子どもや兄弟姉妹、祖父母などの「遺族固有の慰謝料」が加算されるケースもあります。
どのくらい増額されるのかは裁判所の判断となるため、ケースバイケースです。
たとえば一家の支柱が交通事故で死亡した場合、弁護士基準による標準的な死亡慰謝料は2,800万円となっていますが、
増額が認められると3,000万円やそれ以上になるケースもよくあります。
★交通事故で被害者に後遺障害が残ったり死亡したりすると、一般の人身事故よりも相当高額な慰謝料が認められます。
しかし被害者が自ら示談交渉を進めて任意保険基準が適用されると、慰謝料が大きく減額されてしまいます。後遺障害や家族の死亡によって、同じような精神的苦痛を受けているのに慰謝料を下げられるのは不当であり、
示談交渉を進めるときには弁護士基準を適用することが重要です。