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3つの基準による慰謝料計算と異なる被害者ケースの慰謝料事例

  • 2019/4/23
  • 2019/08/30

交通事故に遭ったら、加害者に対して「慰謝料」を請求できますが、慰謝料は治療費などの損害とは違って明確に金額がわかるものではありません。被害者の精神的苦痛が強いと慰謝料の増額に至ります。

今回は、様々な交通事故における慰謝料の計算方法をご紹介します。

交通事故の代表的な賠償金内訳

慰謝料とは賠償金の一部です。「慰謝料」=「賠償金」ではないことを理解し、保険会社側から提示された金額に対しても「賠償金の内訳を説明してください」と問うことができます。

    <代表的な賠償金の内訳>

  • 治療費
  • 入通院慰謝料
  • 交通費
  • 休業損害
  • 後遺障害慰謝料
  • 逸失利益

自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準それぞれの慰謝料計算式

まずは基本的な交通事故の慰謝料計算方法をご紹介します。交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類があります。

入院慰謝料
交通事故に遭い、病院で入院や通院をすることにより受けた肉体的・精神的苦痛に対する補償です
※実際に治療した日数が慰謝料の査定ポイントとなります
後遺障害慰謝料
交通事故によって後遺障害が残ったために受けた肉体的・精神的苦痛に対する補償です
※後遺障害等級認定が必要となります
死亡慰謝料
交通事故によって生命を失ったことに対して支払われます
※相続人により請求されます

そして交通事故の慰謝料計算方法には、以下の3種類の基準が存在します。

自賠責基準の慰謝料計算式

自賠責基準とは、自賠責保険や共済が保険金を計算するときに使う基準で、金額的には低くなります。自賠責基準で入通院慰謝料を計算するときには、以下の2つのうち低額な方となります。

  • 1日当たり4,200円×治療期間にかかった日数
  • 1日当たり4,200円×(実治療日数×2)

自賠責基準の場合、通院期間が長くても実通院日数が少ないと慰謝料を大きく減額されてしまいます。

任意保険基準の慰謝料計算式

任意保険基準とは、任意保険会社が独自に設定している賠償金計算方法です。任意保険基準は、保険会社によって具体的な計算方法が異なるので、一律で金額を提示することはできませんが、一般的に「自賠責基準より多少高い程度の金額」になる場合が多くなっています。

任意保険基準の場合、通院期間よりも入院していた期間の方が慰謝料は高額になるのが一般的です。

弁護士基準の慰謝料計算式

弁護士基準とは、弁護士が示談交渉をするときや裁判所が判決を書くときに使用する法的な基準です。入通院慰謝料を弁護士基準で計算すると、自賠責基準や任意保険基準に比べるとかなりの高額になります。自賠責基準の2倍以上になることも多く、任意保険基準の1.6~1.8倍程度になるケースが多数です。

弁護士基準の場合、軽傷と通常程度の傷害の場合とで適用する基準が異なります。

軽傷の場合(単位:万円)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172
4ヶ月 67 955 119 136 152 165 176
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182
7ヶ月 97 119 139 152 166 175 183
8ヶ月 103 125 143 156 168 176 184
9ヶ月 109 129 147 158 169 177 185
10ヶ月 113 133 149 159 170 178 186

通常程度の傷害の場合(単位:万円)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院 53 101 145 184 217 244
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286
8ヶ月 139 164 194 222 248 270 290
9ヶ月 145 170 199 226 252 274 292
10ヶ月 150 175 203 230 256 276 294

妊娠されている方が実際に遭った慰謝料の事例

上記慰謝料の計算方法は、あくまで相場です。
慰謝料とは精神的苦痛に対する賠償金なので、被害者の精神的苦痛が通常のケースより大きいと考えられる事情があれば、慰謝料を増額してもらえます。

たとえば妊婦の方が流産したり中絶、死産したりすると、一般的なケースより慰謝料が増額されます。以下は、妊婦が交通事故に遭って死産や流産となり、高額な慰謝料が認められた事例です。

高松高裁平成4年9月17日

妊婦が出産予定日の4日前に交通事故に遭い、死産してしまった事案です。慰謝料として800万円が認められています。

東京地裁平成10年12月1日

妊婦が交通事故に遭い、妊娠36週で胎児が死亡した事案です。母親の慰謝料が700万円、父親の慰謝料が300万円の合計1,000万円の慰謝料が認められました。このように裁判を起こすと、妊婦が交通事故で中絶、流産、死産すると、母親(妊婦本人)だけではなく父親にも慰謝料が認められるケースがあります。

大阪地裁平成13年9月21日

妊婦が交通事故に遭い、18週の胎児が死亡した事案です。慰謝料として350万円が認められています。

妊婦が交通事故に遭って死産、流産、中絶した場合、妊娠期間が長くなればなるほど慰謝料が高額になる傾向があります。

また被害者が交通事故に遭ったために結婚が破談となった場合にも、被害者の受ける精神的苦痛が多大であるとして、慰謝料が増額されます。

子どもと大人では慰謝料が全く違う!?

結論から言うと大人も子どもも慰謝料の金額は同じです。慰謝料とは怪我や後遺障害、死亡によって被害者が受ける精神的苦痛に対する賠償金なので精神的苦痛の大きさは大人でも子どもでも同じだからです。収入や年齢の高い方が、事故による苦痛を大きく感じるという理屈はありません。

ただし、被害者が死亡した場合の「死亡慰謝料」は「その人が扶養していた人がどのくらいいるのか」が考慮されるので扶養していた人が多いと事故によって発生する影響が大きいため子どもより大人が死亡慰謝料が高くなります。

一家の大黒柱が死亡した場合
慰謝料は2,800万円やそれ以上になるケースが多数です。これに対して子どもが死亡した場合、2,000~2,500万円程度が相場になっています。ただし、これは「子どもだから慰謝料が低い」のではなく「被害者によって扶養されていた人がいないので慰謝料が低い」のです。大人でも、独身者などの場合には子どもと同じ計算方法となり、死亡慰謝料は高額になりにくいです。

内縁の夫が交通事故で死亡した場合

被害者が内縁の妻や夫の場合、残された配偶者は相手に死亡慰謝料を請求できるのでしょうか?

まず内縁の配偶者の場合、お互いに相続権がないので、被害者本人の死亡慰謝料を相続して請求することはできません。ただし配偶者を失ったことによって内縁の配偶者は大きな精神的苦痛を受けるので、近親者としての固有の慰謝料を請求することは可能です。

相手に誠意が全く感じられない場合の交渉手順

相手に誠意がみられない場合、どのように対処すれば良いのでしょうか?

まずは相手の言い分に対して安易に妥協せず、相当な金額の慰謝料を支払うよう求めることが重要です。連絡を入れても相手が無視する場合には、内容証明郵便を使って損害賠償請求書を送るケースもあります。被害者側の過失割合を高く主張される場合は、事故の状況を証明しつつ法的に適切な過失割合を当てはめるよう対処することが大切です。

相手に誠意がない場合、被害者が自分で示談交渉をすると、低額な任意保険基準を適用されて慰謝料を大きく下げられてしまいます。

弁護士依頼の必要性

交通事故の慰謝料を請求するには、弁護士に依頼する方法がおすすめです。弁護士に依頼すると、高額な弁護士基準が適用されるので慰謝料が全体的に上がります。また相手に誠意がない場合や慰謝料の増額事由がある場合も、見逃さずしっかり慰謝料を請求してもらえ、被害者が自分で示談交渉を行うストレスもありません。

万が一交通事故に遭ってしまったらきっちり慰謝料を払ってもらうため、できるだけ早めに弁護士に相談するのが良いでしょう。