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歩行者と自動車の交通事故の過失割合その3

  • 2019/11/28
  • 2021/07/21

信号機のある道路での歩行者と右左折車の過失割合

信号機のある道路において、右左折車と歩行者の事故が起きた場合、過失割合はどうなるのでしょうか。ここでは、想定できるケースごとに過失割合について説明します。

歩行者が青信号で横断中・自動車も青信号で進入したケース

歩行者が青信号で横断しているところに自動車も青信号で侵入した場合の過失割合は、原則100%自動車の過失となります。なぜなら、横断歩道では歩行者が優先されるという原則があるからです。

自動車も歩行者と同じく信号に従っているとはいえ、自動車には横断歩道で徐行する義務もあります。また、横断しようとしている歩行者がいるなら一時停止も必要であることが、道路交通法38条1項で定められています。よって、この場合、基本的に過失相殺を行うべきではありません

しかし、次のような場合には、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 歩行者が直立前後の横断や佇立をした場合、5~10%程度加算
    (自動車が徐行や減速をおこなっていなければ過失相殺は認められない)
  • 歩行者が児童・幼児、高齢者、身体障害者だった場合、5%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、5%程度の減算
    (わき見運転や携帯操作など)
  • 自動車に重過失があった場合、10%程度の減算
    (酒酔い運転、居眠り運転、無免許、過労運転など)

 

歩行者が黄色信号で横断中・自動車が青信号で進入したケース

歩行者が黄色信号で横断しているところに自動車が青信号で進入した場合の過失割合は、基本的に歩行者に対して30%の過失が認められます。
 
歩行者側にも一定の過失割合が認められるのは、歩行者は黄色信号で道路の横断を開始してはいけないと道路交通法施行令2条1項で定められているからです。

また、右左折車は、たとえ歩行者側が黄色信号であっても安全を確認する義務があり、一時停止したうえで徐行や減速によって歩行者との衝突を避けなければなりません。よって、この状況での事故については自動車側が大きな過失割合を負うことになります。

このケースでは、次のような場合、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 事故が幹線道路や夜間に起きた場合、5%程度の加算
  • 歩行者が直立前後の横断や佇立、後退をした場合、5~10%程度の加算
  • 事故が住宅街や商店街で起きた場合、5%程度の減算
  • 歩行者が集団横断をしていた場合、10%程度の減算
  • 歩行者が児童や高齢者であった場合、10%程度の減算
  • 歩行者が幼児や身体障害者であった場合、20%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、10%程度の減算
  • 自動車に重過失があった場合、20%程度の減算
  • 歩車道の区別がない場所で起きた場合、5%程度の減算

 

歩行者が赤信号で横断中・自動車が青信号で進入したケース

歩行者が赤信号で横断しているところに自動車が青信号で進入した場合、基本的に、歩行者に対して50%の過失が認められます。道路交通法施行令2条1項および4項では、歩行者は赤信号で道路を横断してはいけないと定められているからです。

ただし、右左折車は、赤信号を無視して道路を横断する歩行者がいる可能性を考慮し、一旦停止や徐行・減速をして衝突を避けなければなりません。よって、この場合の過失割合は、歩行者と自動車は同じ割合となっています。

このケースでは、次のような場合、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 夜間や幹線道路の場合は、5%程度の加算
  • 歩行者が直立前後の横断や佇立、後退をした場合、5%程度の加算
  • 商店街や住宅街の場合は、10%程度の減算
  • 集団で横断していた場合、10%程度の減算
  • 歩行者が児童や高齢者であった場合、10%程度の減算
  • 歩行者が幼児や身体障害者であった場合、20%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、10%程度の減算
  • 自動車に重過失があった場合、20%程度の減算
  • 歩車道の区別がない場合は、10%程度の減算

 

歩行者が黄色信号で横断中・自動車も黄色信号で進入したケース

歩行者が黄色信号で横断しているところに自動車も黄色信号で進入した場合、基本的に、歩行者の過失割合は20%です。道路交通法施行令2条1項では、自動車側が黄色信号のときは、安全に停止できない場合を除いて交差点に進入してはならないと定められています。

しかし、交通量が多い道路では、右左折車は黄色信号でも右折せざるを得ないケースがあり、黄色信号での進入は絶対的に不当であるとは言い切れませんよって、黄色信号で横断を始めた歩行者の過失と、右左折車の注意不足や事故を回避できる可能性を考慮すると、歩行者側の基本の過失相殺率は20%となります。

このケースでは、次のような場合、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 事故が夜間や幹線道路で起きた場合、5%程度の加算
  • 歩行者が直立前後の横断や佇立、後退をした場合、5%程度の加算
  • 事故が住宅街や商店街で起きた場合、5%程度の減算
  • 歩行者が児童や高齢者であった場合、5%程度の減算
  • 歩行者が幼児や身体障害者であった場合、10%程度の減算
  • 集団横断の場合、10%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、10%程度の減算
  • 自動車に重過失があった場合、20%程度の減算
  • 歩車道の区別がない場所で起きた場合、5%程度の減算

 

1-5:歩行者が赤信号で横断中・自動車が黄色信号で進入したケース

歩行者が赤信号で横断しているところに自動車が黄色信号で進入した場合、基本的に歩行者の過失割合は30%です。道路交通法施行令2条1項および4項において、歩行者は赤信号のときに道路を横断してはいけないと定められています。

ただし、右左折車は一旦停止や徐行・減速をおこなうことにより、赤信号を無視して横断する歩行者の予見が可能です。よって、事故の主たる原因は右左折車が確認を怠ったことにあると考えられるため、自動車側に大きな過失割合が認められています。

このケースでは、次のような場合、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 事故が夜間や幹線道路で起きた場合、5%程度の加算
  • 歩行者が直立前後の横断や佇立、後退をした場合、5%程度の加算
  • 事故が住宅街や商店街で起きた場合、5%程度の減算
  • 歩行者が児童や高齢者であった場合、10%程度の減算
  • 歩行者が幼児や身体障害者であった場合、20%程度の減算
  • 歩行者が集団横断をしていた場合、5%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、10%程度の減算
  • 自動車に重過失があった場合、20%程度の減算
  • 歩車道の区別がない場所で起きた場合、5%程度の減算

 

1-6:歩行者が赤信号で横断中・自動車も赤信号で進入したケース

歩行者が赤信号で横断しているところに自動車も赤信号で進入した場合、基本的に歩行者の過失割合は20%です。道路交通法施行令2条1項および4項では、赤信号について、歩行者は道路を横断してはならず、自動車も所定の停止位置を越えて進行してはならないと定められています。

このケースでは、赤信号を無視した自動車の過失が大きいと判断できるため、自動車側に大きな過失割合が認められます。なお、歩行者が黄色信号で横断を開始した後で赤信号に変わり、赤信号で交差点に進入してきた自動車に衝突されたケースについても、この基準の適用が可能です。

このケースでは、次のような場合、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 事故が夜間や幹線道路で起きた場合、5%程度の加算
  • 歩行者が直立前後の横断や佇立、後退をした場合、5%程度の加算
  • 事故が住宅街や商店街で起きた場合、5%程度の減算
  • 歩行者が児童や高齢者であった場合、5%程度の減算
  • 歩行者が幼児や身体障害者であった場合、10%程度の減算
  • 歩行者が集団横断をしていた場合、5%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、10%程度の減算
  • 自動車に重過失があった場合、20%程度の減算
  • 歩車道の区別がない場所で起きた場合、5%程度の減算

 

歩行者の横断中に信号機が切り替わった場合は?

歩行者が横断している最中に信号機の色が切り替わった場合、過失割合はどのように決定されるのでしょうか。ここでは、信号機の色が切り替わったときの状況ごとに、過失割合について説明します。

歩行者が青信号で横断中に赤信号へ切り替わり・自動車が赤信号で進入したケース

歩行者が青信号で横断している途中で赤信号に切り替わり、自動車が赤信号で進入した場合、基本的に、自動車の過失割合は100%となります。この場合、信号が黄色信号に変わっても速度を上げずに横断歩道を歩行している場合、歩行者にも過失があります。

しかし、歩行者よりも自動車の過失が大きいと認められるため過失相殺は行われません具体的には、道路交通法施行令2条1項において、赤信号の場合に自動車は所定の位置を越えて進行してはならないと定められています。また、道路交通法38条1項では、横断歩道の直前で一時停止して歩行者の通行を妨げてはならないとされているのです。

しかし、次のような場合、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 事故が夜間や幹線道路で起きた場合、5%程度の加算
  • 歩行者が直立前後の横断や佇立、後退をした場合、5%程度の加算
  • 事故が住宅街や商店街で起きた場合、5%程度の減算
  • 歩行者が児童・幼児、高齢者、身体障害者であった場合、5%程度の減算
  • 歩行者が集団横断をしていた場合、5%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、5%程度減算
  • 自動車に重過失があった場合、10%程度の減算

 

歩行者が赤信号で横断中に青信号へ切り替わり・自動車が赤信号で進入したケース

歩行者が赤信号で横断しているときに青信号へ切り替わり、自動車が赤信号で進入した場合、基本的に、歩行者の過失割合は10%です。そもそも歩行者は赤信号で道路を横断してはいけません。

しかし、このケースでは、歩行者が自動車と衝突した時点ですでに信号が切り替わっており、横断が禁止される状況ではなくなっています。そのため、歩行者が黄色信号で横断を開始し、赤信号で自動車と衝突をしたケースよりも、過失割合は10%減算されています。

このケースでは、次のような場合、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 事故が夜間や幹線道路で起きた場合、5%程度の加算
  • 歩行者が直立前後の横断や佇立、後退をした場合、5%程度の加算
  • 事故が住宅街や商店街で起きた場合、5%程度の減算
  • 歩行者が児童や高齢者の場合、5%程度の減算
  • 歩行者が幼児や身体障害者の場合、10%程度の減算
  • 歩行者が集団横断をしていた場合、5%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、10%程度の減算
  • 自動車に重過失があった場合、20%程度の減算
  • 歩車道の区別がない場所で起きた場合、5%程度の減算

 

信号機がない横断歩道での過失割合

信号機がない横断歩道で横断歩道を通過しようとする自動車との事故の場合、基本的に、自動車の過失割合は100%となります。なぜなら、横断歩道を横断している歩行者は、横断歩道を通過しようとする自動車との関係上、ほぼ絶対的な保護を受けると道路交通法38条1項で定められているからです。

このケースでは、次のような場合に、歩行者の過失割合に修正が加えられます。
※すべてのケースにあてはまるわけではありません。

  • 事故が夜間や幹線道路で起きた場合、5%程度の加算
  • 歩行者が直立前後の横断や佇立、後退をした場合、5~15%程度の加算
  • (歩行者が左右の安全を確認すれば事故を回避できた場合は15%程度加算、それ以外の場合は5%程度加算)
  • 事故が住宅街や商店街で起きた場合、5%程度の減算
  • 歩行者が児童や高齢者であった場合、5%程度の減算
  • 歩行者が幼児や身体障害者であった場合、10%程度の減算
  • 歩行者が集団横断をしていた場合、5%程度の減算
  • 自動車に著しい過失があった場合、5%程度の減算
  • 自動車に重過失があった場合、10%程度の減算
  • 歩車道の区別がない場所で起きた場合、5%程度の減算